NTTドコモは27日、2016年度 決算説明会を開催した。営業収益は前年度比プラス1.3%の45,846億円、営業利益は前年度比プラス20.7%の9,447億円で、対前年度で増収増益。

登壇したNTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、割引施策などで840億円のお客様還元を実現した上での増収増益であることを強調した。その後の質疑応答では、記者団から様々な質問が寄せられた。

2016年度 決算説明会に登壇する、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏。対前年度で増収増益となった。質疑応答では、記者団から寄せられる様々な質問に回答した

ワイモバイルを意識したの?

NTTドコモでは同日、月額980円で家族通話が無料になる「シンプルプラン」の追加を発表している。同プランの追加理由について、ワイモバイルや格安スマホ対策かと聞かれた吉澤社長は「料金プランに関しては、色んなご要望を頂いている。ドコモではカケホーダイ、カケホーダイライトなども提供しているが、それでも音声通話を利用されないお客さまはいる。そこでシンプルプランを新設した」と回答した。

ドコモでは同日、料金プランに月額980円で家族通話が無料の「シンプルプラン」、大容量パケットパックの「ウルトラシェアパック30」を追加している

FREETELが消費者庁の措置命令を受けた

ドコモが発表する契約者数には、ドコモ系MVNOの契約者も含まれている。そこでMVNOの比率を聞かれると、吉澤社長はドコモ全体の10%ほどがMVNOの契約者であると明かした。

ドコモ系MVNOをめぐっては、FREETEL SIMを提供するプラスワン・マーケティングが4月21日に消費者庁の措置命令を受けた。これについて考えを聞かれると「消費者庁の件は、"業界最速の通信速度"と記載したのが問題だったと理解している。MVNO事業者さん同士でも、そうした軋轢が起こっているのでは。しかし大手キャリアでも、以前は"うちが最速だ"と3社で言い争っていた。こうした動きに対しては、客観的な視点が大事」と話した。

ちなみにMVNO事業者を連携を強化すべきパートナーと捉えているドコモでは、今後ともドコモのサービスを提供したり、顧客システムで連携したりしていきたい考えだという。

テザリングの有料化は納得できない

テザリングについては2つの質問が寄せられた。本来なら月額1,000円が必要とされるテザリングオプション。ドコモではキャンペーンにつき無料で提供中で、この動きに他キャリアも追随している。こうした傾向について「そもそも、なぜ別途1,000円かかるのか。ユーザーが買ったパケットをPCで使うのに、なぜ追加で料金を取られるのか」との質問があがった。また、別の記者は「毎月使い切れないことを前提に設計された大容量のパケットパック利用者が、テザリングにより毎月使い切るまでパケットを消費するようになると、ドコモとしても都合が悪いからではないか」と質問した。これに対して、同社 取締役常務執行役員の大松澤清博氏は「スマートフォンで快適にご利用できるよう、料金プランについても利用実態を見ながら検討を重ねている段階。お客様還元という観点も含めて、引き続きご要望を受け止めながら適切に対応していきたい」と答えるにとどまった。

テザリングの料金設定について回答する、ドコモ取締役常務執行役員の大松澤清博氏

DAZN for docomoが好調の理由は?

2月15日に開始した「DAZN for docomo」の契約数が、3月末の時点で36万契約と急伸している。その要因について聞かれると、吉澤社長は「Jリーグの開幕に合わせてスタートできたのが大きい。Jリーグに絡んだ加入が伸びている。DAZN for docomoではバレーボールのVリーグも見られる。スポーツの観戦スタイルを変えていくサービス。今後もテレビCMやドコモショップでの販促に力を入れていきたい」と回答した。

DAZN for docomoの契約数が、3月末の時点で36万契約と急伸している

5Gの設備投資にいくらかかる?

ドコモでは今後、5Gの設備投資に注力していきたい考えだ。そこで設備投資額について聞かれると、吉澤社長は「19年度から本格的に投資していく。ただ、5Gの設備に追加で投資しても、全体の設備投資額がいまより高くなることはないと思っている」との考えを示した。

2016年度 決算サマリー