ピュア・ストレージは4月11日、都内で記者会見を開き、NVMeに対応したハイパフォーマンス向けのオールフラッシュアレイ「FlashArray//X」を発表した。会見では、来日した米Pure Storage CEOのスコット・ディーツェン氏が事業展開についても説明した。
新製品は、新しいPurity DirectFlashソフトウェアおよびNVMe DirectFlashモジュールによるフラッシュ管理が可能であり、旧来のテクノロジーのボトルネックであったパフォーマンスを解消するほか、NVMeによってエンド・ツー・エンドでソフトウェアから直接アクセスするフラッシュ最適化技術により、パフォーマンスを改善してデータから高い価値を引き出すことを実現する。
新製品の説明を行ったピュア・ストレージ・ジャパン SE ディレクターの志間義治氏は「フラッシュストレージを選定する際に5つのポイントがあります。それは『シンプルかつオープン』『伸縮自在の拡張性』『大容量・高速』『フラッシュネイティブ』『高速帯域』となります。新製品の特徴は、これまでのSSDではなく、独自開発したNANDフラッシュを用いた『DirectFlash モジュール』を搭載している点。同モジュールは独自ソフトウェアでNANDフラッシュのIOをコントロールするほか、低いレイテンシを実現するNVMeを採用しました。また、通常であればSSDが書き込めなくなった場合、余剰領域を使用しますが、新製品では余剰領域を取り除いており、われわれがコントロールします」と説明した。
さらに、新製品は「DirectFlash ソフトウェア」「//X70 コントローラ」という2つの特徴を備える。DirectFlash ソフトウェアはPurity Operating Environment内の新たなソフトウェアモジュールで、通常は個々のSSD内で実行されるグローバルフラッシュ管理(ガベージコレクション、アロケーション、I/O 最適化、エラー修正)をシステムレベルで実装し、高いパフォーマンスを実現するという。
また、//X70 コントローラは、FlashArrayの既存のミッドプレーンとシャーシ内においてNVMe通信ができ、2015年のリリース時にSASとNVMeの両方にあらかじめ接続を可能にしたFlashArray シャーシを活用できる。
これらの特徴により、FlashArray//Mと比較して、レイテンシーが最大で半減、書き込みの帯域幅は2倍、パフォーマンス密度は4倍まで向上したほか、FlashArray//Mからの投資を無駄にすることなく、アップグレードを可能としている。
一方、2017年の日本における事業戦略について、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏は「日本市場では『Change=変わる』ことを基本方針に据えます。ビジネスモデルは製品提案から価値提案に、マーケティングはビジネスに直結するアプローチに、パートナーへのアプローチはプラットフォームを提案していくことにそれぞれ変えます。そして、日本市場のプラットフォーム革新をリードしていきます」と、意気込みを語った。
クラウド時代に適したフラッシュの提供に向けて
ディーツェン氏は、同社はクラウド時代に適したフラッシュを提供していくことに重点を置くとして、次のように語った。
「世界中でデータ量は増加しており、2020年には現在の4ZB(ゼタバイト)から44ZBへの拡大が見込まれています。データはさまざまなビジネスを動かしており、データの中から洞察や価値を見つけ出し、AI、機械学習に生かし、それらを通じて新たなシステムを構築しています。2020年にはアマゾンやマイクロソフト、グーグルといったパブリッククラウドの大手ベンダーが占める市場の割合は15%に満たないと想定されており、われわれやパートナーにとっては大きなチャンスが待っていると言えます」と述べた。
そして「2020年にはインターネットの容量は3ZBまで拡大が見込まれているが、IoTなどが登場し、データが増加しているにもかかわらず、インターネットの成長が追いついていません。そのため、われわれは、インターネットが格納しきれないデータをとらえていかなければなりません。われわれは、機械学習やデータからの洞察をマイニングする技術を持っているほか、パブリッククラウドと同様の容易さでデプロイメント、拡張性を低いコストで実現できます」と、同氏は胸を張った。
同社がパブリッククラウドから学んだことについては「100%の自動化、速いネットワーク、NVMeフラッシュ、複数階層のアーキテクチャ、ソフトウェアとハードウェアの融合によるイノベーションなどとなります。クラウド時代のフラッシュは、シリコン最適化、数千~数万の複合アプリケーション、PB規模への柔軟な増設、完全自動化、シンプル・オープン、ソフトウェア/ハードウェアの後進をサブスクライブが求められています。われわれは、これらの価値を顧客に提供します。そのため、新製品はFlashArrayシリーズをクラウドに拡張していく試みとなります」と話した。