さて、本製品で実現したドライブはどのくらいの読み書き速度を備えているのでしょうか? 今回は「Sandisk Extreme PRO microSDHC UHS-I(UHSスピードクラス3)16GB」を10枚揃えて、「CrystalDiskMark 5.2.1」で読み書き速度を計測してみました。

「CrystalDiskMark 5.2.1」で計測

その結果、microSDカードを1枚、2枚、4枚、5枚、8枚、10枚と増やしていくと、Q32T1 シーケンシャルリードとQ32T1 シーケンシャルライトのスコアが向上していったのです。

「Sandisk Extreme PRO microSDHC UHS-I(UHSスピードクラス3)16GB」を10枚装着した際の読み書き速度

「Sandisk Extreme PRO microSDHC UHS-I(UHSスピードクラス3)16GB」をAnkerの「USB 3.0 SD/TFカードリーダー」で装着した際の読み書き速度

本製品の仕様は不明ですが、microSDカードの枚数を増やすと読み書き速度が向上しているということは、並列処理が行なわれているはずです。

microSDカード3種でベンチ比較

microSDカード自体の読み書き速度が与える影響を調べるため、「Sandisk Extreme PRO microSDHC UHS-I(UHSスピードクラス3)16GB」、「東芝 THNSU16 UHS-I(UHSスピードクラス3、SDスピードクラス10)」、「東芝 SD-C16G(SDスピードクラス4)」の3種類のmicroSDカードを使ったベンチマークも実施してみました。

「CrystalDiskMark 5.2.1」で計測

こちらではQ32T1 シーケンシャルライトで顕著な差が見られました。余り物のmicroSDカードを有効活用するというコンセプトの本製品ですが、それでもmicroSDカードの読み書き速度は速いに越したことはないのは間違いありません。

ここまでポジティブにご紹介してきた本製品ですが、実は検証や計測にかなりの時間を要しました。microSDカードを多く装着するほど読み書き速度が向上するとお伝えしましたが、10枚装着した際に挙動が不安定な傾向が見られました。microSDカードを10枚装着したテストは、3回目でようやく完走したほどです。もちろん本製品自体の個体差や、メモリーカードとの相性に起因する不具合の可能性もあります。8枚に減らすと挙動が安定したので、もし実用するのであればmicroSDカードの枚数を調整することをお勧めします。

「CrystalDiskInfo 7.0.5」で温度が75度と出たときは正直ちょっとたじろぎました

サーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」で計測した温度は最大46.3度。「CrystalDiskInfo 7.0.5」の温度は誤計測だったようです

ひと手間かければ簡易セキュリティが実現!

この「10枚のmicroSDカードをSATAドライブにできる変換アダプター」はどのような用途に活用できるでしょうか? 同じ容量のmicroSDカードを10枚揃えるというのは正直なかなか厳しい条件です。仮に16GBを10枚揃えたとしても容量は160GB。外部ストレージとしては心もとない容量です。

そこで筆者が思いついたのはセキュリティ目的の活用です。本製品はmicroSDカードのスロットの位置を変えるだけで、ドライブにアクセスできなくなります。つまり数字なり文字なり自分だけがわかる印をつけておき、正しいスロットにmicroSDカードを装着しなければ読み書きできないドライブが実現します。もちろん意外と簡単にデータを吸い上げられる可能性はありますが、簡易的なセキュリティ手段としては十分役立つでしょう。

4枚中2枚のmicroSDカードを入れ替えただけで、ドライブにアクセスできなくなりました

正直実用的に活用するのは難しいアイテムですが、パズル的な試行錯誤は実に楽しく感じられました。多少の相性問題や不具合は可愛いものです。なにより全スロットをmicroSDカードで埋めた見た目がガジェッター心をくすぐります。コレクターズアイテムとしてでもぜひ手元に置いておきたい一枚です!