A4ファイルやテプラでおなじみ、文具メーカーのキングジムは、災害時にオフィスなどに留まって一夜を過ごす際に必要になるものをセットにした「災害備蓄セット」と、帰宅する人に向けた「災害帰宅セット」を作った。なぜ文具メーカーが……。同社の広報に話を聞いた。
防災関連商品を展開
「災害備蓄セット」には、長期間保存ができる水、非常用の簡易トイレ、水なしで食べられるご飯など、オフィスなどの滞在に必要になるもの6アイテムが詰め合わせされている。
「災害帰宅セット」には、交通機関がストップした際などに自力で家まで帰ることを想定、帰宅途中に必要になりそうなもの、保存水はもちろんのこと、非常用のライトや笛などがセットされている。
両方とも、入っている箱を組み立て直すと簡易まくらになる。人の目が気にならないように、まくらの両端は目隠しできるようになっているほか、まくらの中には貴重品をしまえるようなっている。いずれも東日本大震災の時の教訓を生かして開発された。
文具メーカーのキングジムがどうして、畑違いの食品を売るのだろうか? 実は、同社が、このような防災関連商品を出すのは初めてのことではないのだ。
最初に出したのが、今回のセットの前身になった「帰宅支援キット」。さらに、2014年には、災害時の防寒対策になる着る布団を出している。「東日本大震災の時に実際に会社に泊まりましたが、そのとき会社に泊まるのは至難の業なのだと分かったのです。そこから発案した商品です」。そう話すのは、同社広報の宮崎千恵さん。「着る布団&エアーマットは、すそを折りたたむことで、サイズ調整が可能で、余震が起きた際にはこのまま逃げることができるようになっている。エアマットは、冷たい床の上で寝ることになっても温度が体に伝わらないようにするためだ。
「発売当時、“社蓄セット”とネット上で、話題にしていただいたこともあって、売り上げは好評でした」。(宮崎さん)フリーサイズで大人ならだれでも着用できるが、学校などが避難所なっている場合も多いため、子ども用も出した。食品だけでなく衣服まで売っていたのだ。