悲しいのは、これらの細部へのこだわりがリターンに直結するとは限らないことである。それにもかかわらずリアルを追求していくのはなぜなのか。サービス統括本部長を務める石渡亮介取締役は「プロ野球の世界観に入り込んでもらうため」と一言。さらに、パブリシティ担当の金坂浩興氏は「スマホアプリだからといって、ビット表現のキャラクターが画面を動いて2017年度版のプロ野球ですと言われても……(笑)」と納得の答えだ。

聞き逃せなかったのは金坂氏の"年度版"という言葉だ。今作は年度ごとに球団データなどにアップデートをかけ、長年プレイしてもらえるように考えているという。息の長いゲームアプリに仕立てたいからこそ、今回のようにリアルを追求して作り込んだのだろう。

しかしながら、作り込みにかけたコストに対してのリターンはどうか。アプリはアイテム課金制を採用。それで収支は合うのか、というのが率直な感想だ。石渡氏は「新しいチャレンジということで、従来のガチャではない新しいマネタイズ方法を考えている」とし、その方法も注目されそうだ。果たして「プロ野球バーサス」制作陣の努力は報われるのだろうか。