競争の激しい回転寿司業界。最近ではくら寿司が牛丼の販売に乗り出し、サイドメニューを充実させるなど、各社各様の戦略がありそうだが、あきんどスシローは素材の品質にこだわり、消費者を魅了したいようだ。11月30日から、海外から仕入れたこだわりネタを100円で提供する「世界の海からいいネタ100円PROJECT」を開始、その第一弾としてチリ産のうにを使った「濃厚うに包み」の販売を開始した。

水留浩一社長。同社は素材の品質にこだわった「世界の海からいいネタ100円PROJECT」を開始した

将来は定番化を目指す

新プロジェクトでは「濃厚うに包み」のほか、第2弾として1月中旬から「生キングサーモン」、第3弾として2月下旬から「天然黒まぐろ赤み」を販売する。以降もほぼ月替わりに100円新商品を提供していくという。これらは期間限定で、なくなり次第終了となり、キャンペーン色が強いものだが、将来的には定番化も目指していくという。

すぐ定番化しないのは、理由がある。それは供給の問題だ。養殖ではなく天然素材を活用している素材があること、そして、仕入れ先や加工などの見直しを行って達成できたものであり、養殖であっても、定番化には現場でのスキルの定着など時間を要する素材もあるからだ。

たとえば、うに。チリ産のうには日本でも流通しているが、スシローでは加工工程を見直すことで、歩留まりを向上、100円で流通できるようにした。「チリ人はうにを食べないからか、加工工程でフォークで突き刺してしまう。それでは溶け出してしまいウニがダメになる。そうした加工方法の見直しを供給側と一体となることで(歩留まりが向上し)100円で提供が可能になる」(執行役員 商品本部長 堀江陽氏)。

プロジェクト第1弾のチリ産のうに。加工工程を見直して提供可能となった「濃厚うに包み」

サーモンはどうだろうか。これまでは空輸したノルウェー産のアトランティックサーモンを販売してきたが、それ以上においしいものがあるのではないか、というゼロベースからの見直しを行った。注目したのが既存のサーモンよりも脂が約2割も多くのったニュージーランド産のキングサーモンだ。ただし、キングサーモン自体は、生産量が少なく限りがあるという。価格自体も高くなるため、大トロは180円、それ以外を100円で販売するといった工夫もしたようだ。もちろん、既存のサーモンよりも脂が多くのっているので、100円で販売する部位でもうまみを多く感じられるという。

プロジェクト第2弾のニュージーランドで養殖した「生キングサーモン」。

プロジェクト第3弾の「天然黒まぐろ赤身」。アイルランド沖で捕獲し蓄養した黒マグロ