AirSelfieは、市販のドローンとは何が違うのだろうか。また、どんな層に響きそうか。そしてイマイチなポイントはあるだろうか。ここからは筆者の主観を述べていきたい。

この製品、まず何より見た目に大きなインパクトがある。ドローンと言えば、"Xの形状をした4つの羽を持ったラジコン"といった先入観があるが、AirSelfieはまるで異なる。スマートフォン(あるいはデジカメ)が飛んでいるような、そんなイメージなのだ。

デモを見た限りでは操作が単純化されており、またホバリングの安定性も際立っていた。これならドローン初心者でも容易に扱えそうだ。安全面も配慮されており、仮に飛行中のAirSelfieを握ってしまっても指がプロペラに巻き込まれる恐れがない。実際、ストロッピアーナ氏の2歳になる姪は誤って運転中のプロペラを触ろうとしたが、怪我をすることはなかったという。

発表会のスライドから。操作が単純化されており、ホバリングの安定性も際立っていたのでドローン初心者でも容易に扱えそうだ

国内でドローンを飛ばすとなれば、国土交通省による「ドローン規制法」が頭に浮かぶ。しかし法の対象となるのは質量200g以上のドローンで、わずか61gしかないAirSelfieでは法律を気にする必要はない。モラルのもとで、自由に飛行を楽しめるだろう。ちなみに発表会でストロッピアーナ氏は、「ドローン」という言葉を使わなかった。AirSelfieはドローンではなく、あくまで"セルフィ―カメラ"というコンセプトなのだとか。惜しいのは、連続飛行時間が約3分間と短いこと。バッテリーが切れたら、フル充電まで30~40分という時間を待たなければいけない。

なおこれも余談だが、ストロッピアーナ氏は記者との雑談のなかで「ジャカルタで飛ばした際に地上に落下し、AirSelfieの上を2台の乗用車が通過していった。タイヤに踏まれてアルミ製のボディがヘの字に曲がってしまったが、飛ばしてみたら問題なく飛んだ」というエピソードを明かしていた。

発表会では、ソーシャルライフやレジャーといったシーンで、普段使いのセルフィーカメラとして使ってほしいとアピールしていた

ではAirSelfieは、どういった層に響くだろうか。そのきっかけとして、競合製品と価格を比較していきたい。いま、子どもでも飛ばせる玩具のドローンは1万円以下で購入できる。また、ビジネス用途で開発されたドローンは安くても10万円前後するのが常識だ。しかし、この中間を狙う「子ども心を持ち続けている大人に向けたドローン」となると、市場に少ない。ここにAirSelfieの展開できる余地があるのかも知れない。

カメラは好きだけれどデジカメはすでに持っており、友人あるいは家族とスマホで自撮りをすることもある。でも最近、そんな撮影スタイルにも飽きつつある。面白いカメラがあれば買いたい。ドローンには前から興味があったけど、高価だし難しそうで使いこなせる気がしない。そんな人たちに広く受け入れられるのではないだろうか。

外観は上品で洗練されたアルミ製の本製品。社会人がスマホと一緒に持ち歩いても違和感がない。飛ばす直前までドローンと気が付かれないので、ドローン撮影したいときの"気恥ずかしさ"のようなものも解消されそうだ。

【動画】AirSelfieを飛ばしたところ