2017年3月11日(以下すべて米国日時)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド15055を、ファーストリングを選択したPCとモバイル向けにリリースした。本ビルドでも大きな変更点はないものの「バージョン1703」が確定し、その他はバグフィックスが中心となる。

2017年3月にRTMは確定か?

Windows 10 Insider Preview ビルド15055に新しい機能は加わっていない。Microsoftは既に新機能の実装を中断し、Windows 10 Creators Updateリリースに向けたバグフィックスに注力すると公表済みである。本ビルド最大の注目点はバージョン情報ダイアログにある「バージョン1703」という文字列だ。

Windows 10を使ってきた方ならご承知のとおり、昨今のMicrosoftは従来の1.0、2.0……「リリースした年月」をバージョン番号の表記法に用いている。例えば現行のCB(Current Branch)版であるWindows 10 Anniversary Updateはバージョン1607だ。

既に海外のIT系ニュースサイトでは、「Windows 10 Creators Updateは2017年3月中にRTMに達し、一般公開は4月上旬」という憶測記事を掲載しているが、今回のバージョン情報は一連のウワサを裏付けした形と言えるだろう。

それでは、ここからはPC版ビルド15055の修正内容と確認済みの問題を紹介する。まずは修正箇所から。

  • 前ビルドまで「Symantec Norton AntiVirus」をインストールしている場合、本ビルドのダウンロード時に0x80070228エラーが発生していたが、Symantecが先週リリースしたウイルス定義ファイルを適用することで、本ビルドのインストールが正常に行われる。
  • 一部のPCで更新する際に71%で止まり、以前のビルドへロールバックする問題を修正した。
  • 追加の言語パックをインストールしている場合、本ビルドのダウンロード及びインストールに失敗する問題を修正した。
  • Microsoft Edge: スペルミスを含む単語を右クリックすると、コンテキストメニューが意図しない場所に表示される問題を修正した。
  • Microsoft Edge: <デバイスにメディアをキャスト>を使用すると、[Win]+[K]キーを押すと開く「接続」ペインが正しく開く。
  • Microsoft Edge: リンクを開いた際や新しいタブにURLを貼り付けると、一時的に「応答なし」となる問題を修正した。
  • Microsoft Edge: タブにマウスオーバーすると現れるヒントがタブを閉じた後でも消えない問題を修正した。
  • Microsoft Edge: 「uBlock Origin」利用時、特定のWebページを表示ではなくダウンロードする問題を修正した。
  • Microsoft Edge: Webノートのテキストボックスにタッチ入力できない問題を修正した。
  • Microsoft Edge: [Ctrl]+[W]キーで複数のタブを1度に閉じると、フォーカスを失ってショートカットキーが正しく動作しない問題を修正した。
  • Microsoft Edge: 文字列を選択してから[Alt]+[Tab]キーなどでアクティブウィンドウを切り替え、そしてMicrosoft Edgeに戻ってから文字列をコピーすると正しく動作しない問題を修正した。
  • Microsoft Edge: アドレスバーのURLを[Ctrl]+[C]キーを押してコピーし、次に[Ctrl]+[Shift]+[P]キーを押してInPrivateウィンドウ、もしくは[Ctrl]+[N]キーを押して新規ウィンドウを開くと、[Ctrl]+[V]キーを押してもアドレスが貼り付けられない問題を修正した。
  • Microsoft Edge: アクティブウィンドウ時に数秒ほどキーボードやタッチパッドによる入力操作が応答しなくなる問題を修正した。
  • Microsoft Edge: マルチディスプレイ環境で<ハブ>ボタンを押すと、ちらつきやレンダリングなどにトラブルが発生していた問題を修正した。
  • マルチディスプレイ環境のうち、1台のディスプレイでレンダリングが停止する問題を修正した。
  • Grooveミュージックをディスプレイの端にスナップしてサイズを変更した後、正しくレンダリングされない問題を修正した。
  • タスクバーのサムネイルプレビューが空白になってしまう問題を修正した。
  • 特定のUSB接続ディスプレイで、通知領域の時計が数分間停止する(マウスオーバーで更新する)問題を修正した。
  • 通知領域の電源用フライアウトメニューを開くと、クラッシュする問題を修正した。
  • OneDrive.exeが意図せぬタイミングでCPUリソースを消費してしまう問題を修正した。
  • UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションがサスペンド時にコンテンツをコピーできない問題を修正した。
  • 利用可能なBluetoothデバイスが見つからず、ペアリングできない問題を修正した。
  • UWPアプリケーションの印刷ウィンドウから<その他の設定>をクリックすると、特定のプリンタードライバーで設定ページが表示されない問題を修正した。
  • デバイスドライバーの更新ダイアログで一部がグレーアウトしていた問題を修正した。
  • Windows Defenderのトースト通知をクリックしても、Windows Defenderセキュリティセンターが起動しない問題を修正した。
  • サインイン画面にTabTip.exeがエラーを引き起こし、Visual C++ランタイムライブラリのエラーダイアログが表示される問題を修正した。

次にPC版の確認済み問題を紹介する。

  • ビルド15042を取得するためにIPv6を無効にするレジストリ操作を行った場合は、IPv6を再び有効にする(操作方法は[こちら](https://aka.ms/15042pcinstall)を参照)。
  • 1部のPCはSYSTEM_PTE_MISUSEエラーが発生し、ビルド15002以降に更新できない。
  • ビルド15031で新規作成したアカウントを用いると、広告IDの設定ミスに伴ってアプリケーションなどがクラッシュする。回避するには、HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\AdvertisingInfoキーを削除すればよい。
  • 「ストア」など一部のUWPアプリケーションで、通知を受け取れないバグが確認されている。修正するには「設定」の<アプリ/アプリと機能>から、UWPアプリケーションを選択して<詳細オプション>から<リセット>ボタンをクリックして初期化を実行すればよい。ただし「ストア」のアップデートが受けられなくなる可能性があり、その際はUWPアプリケーションのアンインストール&再インストールが必要。本問題は次のビルドで修正される予定だ。
  • 更新プログラムによってPCの再起動が必要な場面でも、リマインダーが表示されない場合がある。「設定」の<更新とセキュリティ/Windows Update>から状態を確認してほしい。
  • 一部のUWPアプリケーションはタイトルバーにパッケージ名が表示されることがある問題を修正したが、さらなるフィードバックによって同様の問題が発生していることを確認している。
  • 特定のハードウェア構成では、配信時にゲームバーのウィンドウが緑色で点滅することがある。ただし、配信映像の品質には影響していない。
  • Microsoft Edge: 同一オリジンiframeを使用したWebサイトで「F12開発ツール」を使用すると問題が発生する。
  • Microsoft Edge: 「F12開発ツール」のタブにフォーカスが移動しない。
  • Surface Pro 3にSDカードを挿入している際は、新ビルドに更新されない。

続いてモバイル版ビルド15055の修正内容と確認済みの問題を紹介する。まずは修正箇所から。

  • Grooveミュージックで音楽再生中にボリュームなどのコントロールが動作しなくなる問題を修正した。
  • Cortanaで接続エラーが発生していた問題修正と、音声の信頼性向上を追加した。
  • Cortanaに対して複数の文章でリマインダーを作成する音声対話機能が動作していない問題を修正した。

最後にモバイル版に関する既知の問題

  • OneDriveのカメラロール同期機能など、バックグラウンドタスクが正しく動作していない問題を確認した。これらの問題は今後のビルドで修正する。
  • Windows 10 Mobileデバイスで予期せぬ再起動が発生すると、通話やSMS、電子メールなどの履歴が失われることがある。我々は現在調査中だ。
  • 「ストア」など一部のUWPアプリケーションで、通知を受け取れないバグが確認されている。修正するには「設定」の<アプリ/アプリと機能>から、UWPアプリケーションを選択して<詳細オプション>から<リセット>ボタンをクリックして初期化を実行すればよい。ただし「ストア」のアップデートが受けられなくなる可能性があり、その際はUWPアプリケーションのアンインストール&再インストールが必要。本問題は次のビルドで修正される予定だ。
  • Microsoft Edge: スクロール中にWebページのリロードもしくはリフレッシュする問題を確認している。

ここ数回のビルドではMicrosoft Edgeに関するバグフィックス件数が増え、筆者の個人的な不満だったパフォーマンス面も改善(厳密には上記した数秒ほどフリーズするバグを修正)した。残すところわずか1~2週間で一連のバグフィックスを終えられるのか一抹の不安を覚えるが、Windows 10開発チームの奮闘に期待したい。

阿久津良和(Cactus)

Windows 10 すべてがわかる特集記事はこちら
【特集】~インストールから設定・活用まで~ すべてが分かるWindows 10大百科
http://news.mynavi.jp/special/2015/windows10/