科学技術振興機構(JST)の濵口道成理事長は22日記者会見し、日本学術会議などと共催して5月下旬に東京都内で開催する「ジェンダーサミット10」の詳細を説明した。ジェンダーサミットは、「男女の(社会的)性差」を科学にとって重要な要因と捉え、研究とイノベーションの質の向上を目指す国際会議。2011年にベルギーのブリュッセルで第1回が開かれ、以降年1~3回開催されて今回で10回目。日本では初開催となる。会議では議論を深め、「ジェンダーの平等」が目標の一つになっている「(国連)持続可能な開発目標(SDGs)」に関する提言を世界に向け発信するという。

「ジェンダーサミット10」ホームページトップページ(「ジェンダーサミット10」事務局=JSTダイバーシティ推進室提供)

濵口理事長や担当の渡辺美代子副理事らによると、「ジェンダーサミット10」は「ジェンダーとダイバーシティ推進を通じた科学とイノベーションの向上」を主テーマに5月25、26日の2日間、東京都千代田区の一橋講堂で開催される。JSTと日本学術会議などが主催し、欧州委員会のほか、文部科学省、内閣府男女共同参画局、経済産業省、日本経済団体連合会、国立大学協会など国内の約20の府省や団体が後援する。また多くの企業や大学、学会などが協賛し、「100近い(組織)体制で作り上げていく」(渡辺副理事)という。

同サミットは主要(プレナリー)セッションとパラレル(サブ)セッションで構成され、主要セッションは「ジェンダーの歴史と未来」「アジアにおける深刻な問題への女性の貢献」「ジェンダーに基づくイノベーション」「科学技術の社会的責任」の4つをテーマに幅広い視点から議論する。主要セッションの登壇者にはIBMフェローの浅川智恵子氏、京都大学総長の山極寿一氏のほか、米スタンフォード大学教授で「ジェンダーに基づくイノベーション」という概念を提唱したロンダ・シービンガー氏らが予定されている。

またパラレルセッションでは「中等教育における女子学生の文理選択の健全化」「ダイバーシティ推進に係る評価手法の提示」「スポーツにおける身体とジェンダー・サイエンスの推進」「男性・男子にとってのジェンダー平等」といったより具体的なテーマでの議論が予定されている。ジェンダーサミットでスポーツを取り上げるのは初めてでスポーツ庁の鈴木大地長官も参加するという。

関連会議として「女子中高生と保護者向けシンポジウム」を5月27日に同じ会場(一橋講堂)で、また「サテライト会議」を同月29、30日に沖縄県の沖縄科学技術大学院大学で開催する。

SDGsは2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」で採択され、17の目標と169の「ターゲット」を設定している。「ジェンダーの平等」は「目標5」に掲げられて世界の貧困や飢餓を撲滅して健康を促進するための前提条件としている。また、これまでのジェンダーサミットなどでの議論を通じて「ジェンダーを考慮して研究開発を進めることで男女を問わずより多くの人に適したイノベーションが可能である」という共通認識が醸成されている。

濵口理事長は、トランプ米大統領の科学、環境政策に対して米科学界が懸念を表明していることを紹介した上で「SDGsやジェンダーサミットの目指すものと今の米国の動きは逆の状態になっている。世界の潮流は内向きになっている」と指摘。「こうした(世界の)激動期を迎え、また日本の科学技術の体力も落ちている中でこのサミットはたいへん重要だ」「これまでの男女共同参画と比べて男女の性差をきちんと捉えてイノベーションの質向上を目指すのは新しいトレンドだ」などと強調した。

またジェンダーサミットとSDGsとの関係について渡辺副理事は「『ジェンダーの平等』はすべての目標の基盤であり、それぞれの目標をつなぐことができることを(議論し)提言していきたい」などと会議の趣旨や狙いを説明した。

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