こうした動画コンテンツの展開について、北庄司氏は「YouTubeを動画コンテンツの全てとするのではなく、あくまでもオウンドメディアを主としてYouTubeを活用することが重要だ」と提言する。つまり、オウンドメディアに掲載する動画は自社専用の視聴環境を通じて提供し、蓄積される動画コンテンツとそこから生まれる統計データをアセットとして管理。そして、YouTubeやソーシャルメディアへの動画コンテンツ展開は、オウンドメディアに蓄積したアセットを横展開する形で拡げていくという考え方だ。

北庄司氏によると、ブライトコーブではこうした考え方のもと、Video Marketing Suiteからオウンドメディアの動画コンテンツをYouTube、Facebook、Twitterに簡単に公開することができるBrightcove Socialというツールを追加したという。ソーシャルメディア展開の狙いに応じて動画コンテンツを編集したり、各ソーシャルメディアの統計データを一元管理できるなどの特徴を持つのだそうだ。

こうした同社の展開を紹介した上で北庄司氏は、「重要なのは、どのマーケティングフェイズで、どのような動画コンテンツを、どのような視聴環境で提供すれば効果が生まれるのかを意識して、戦略的に動画コンテンツを展開していくのかということだ」と語る。つまり、「認知」「比較検討」「行動」というデジタルマーケティングの各フェイズでユーザーへのアプローチの仕方が大きく異なるように、動画コンテンツの展開もまた同様に異なるアプローチが必要だというのだ。

マーケティングプロセスに応じて追うべきKPIは大きく異なる

YouTubeなどのソーシャルメディアを活用してリーチを獲得したい場合、オウンドメディアに来訪した見込み顧客を囲い込んで深いエンゲージメントを醸成しなければならない場合、購入意欲の高い顧客に効果的なアプローチをしなければならない場合。それぞれの場合で動画コンテンツの戦略は大きく異なる。企業のマーケティングプロセスにカスタマージャーニーの視点が生まれ、マーケティングプロセスに応じて細かく戦略を考えることが当たり前になったように、動画マーケティングにおいてもカスタマージャーニーの視点でどのようにアプローチすれば効果が生まれるかを考える必要があるのだ。