新規ユーザーの獲得機会減少がその背景に

そして18歳以下のユーザーを重視する学割施策は、他のキャリアにも広がっている。ソフトバンクは昨年12月より、25歳以下のユーザーに対して1年間月額1,000円を割り引く「学割モンスター」を提供していたが、auの動きを受けて1月16日、新たにauと同様の18歳以下向け施策「学割モンスターU18」を提供することを発表している。

ソフトバンクもauに追随し、同じく段階制の料金プランが利用できる「学割モンスターU18」の提供を開始

また同じソフトバンクの別ブランドであるワイモバイルも、内容こそ違うものの18歳以下とそれ以上とで学割の内容を大きく変えてきた。18歳以下のユーザーに対しては、主力の「スマホプラン」の料金を、14カ月後から月額1,000円を割り引く「ヤング割」を提供するのに対し、19歳以上25歳以下のユーザーに対してはスマホプランへの割引を提供せず、代わりにWi-Fiルーター「Pocket WiFi」の契約者に対し、アドバンスオプション料金を3年間無料にする「Pocket WiFi学割」を提供するとしている。

ワイモバイルも、割引の形は異なるものの、やはり18歳以下の学生を優遇した学割施策「ヤング割」を打ち出している

なぜ、auやソフトバンク、ワイモバイルは新たな学割施策で18歳以下を一層優遇する方針を打ち出したのかといえば、そこには最近の市場環境変化が大きく影響していると考えられる。ここ1、2年の総務省施策によって、番号ポータビリティで乗り換えたユーザーに対してだけ端末価格が実質0円で販売し、さらにキャッシュバックを提供するなど過度に優遇する施策が事実上禁止された。その結果、他のキャリアからユーザーを奪って新規ユーザーを増やす施策が困難となってしまったのだ。

また総務省は、MVNOの競争力強化に向けた取り組みも強化しており、端末価格の高騰を嫌ったユーザーが、キャリアからMVNOや安価なサブブランドへと流出する動きが加速している。その一方で、大手キャリアが純粋な新規ユーザーを獲得する機会は、まだスマートフォンを持っていない子供世代が、新入学などを機にスマートフォンデビューを果たすタイミングくらいしか残っていないのだ。

それゆえauやソフトバンクらは、既にスマートフォンデビューを果たしている、高校を卒業した年齢のユーザーを優遇しても新規顧客の獲得にはあまりつながらないと判断。高校生ぐらいまでの年齢層とその親にターゲットを絞り、MVNOへの流出も抑え純粋な新規ユーザー獲得につなげるべく、新規契約者にMVNO並みの低価格から利用できる学割施策を提供するに至ったと見ることができそうだ。