まずスイッチする遊び方が受けるかどうか。そもそも、“家庭用据え置き型ゲーム機”を外に持ち出したいかどうかという点が問題なのだが、これは未知数というしかない。しかし、任天堂が新型ゲーム機で新しい遊び方を提示するのは今回が初めてではない。それどころか、同社は常に、それまでになかったゲーム機を世に問い続ける存在であったので、受けるかどうか分からないゲーム機を発売するということ自体が、同社らしい取り組みだと捉えることもできるだろう。

Wiiユーザーの買い替え需要に期待?

つぎに、このゲーム機は売れるかどうかについて考えてみたいが、これについては、ニンテンドースイッチが既存の任天堂ファンを引き継げるかどうかと、同機が他社製ゲーム機のユーザーや非ゲーマーに訴求できるかどうかに掛かっている。

少なくとも任天堂は、現行機の「Wii U」について「近く生産を終了する」とアナウンスしている。このため、現在はWiiやWii Uで遊んでいる任天堂ファンは、買い替えのタイミングでニンテンドースイッチの購入について考えてみることになるだろう。

そんな時、既存ゲーム機で親しんできた「マリオ」、「ゼルダの伝説」、「スプラトゥーン」といったタイトルの新作をニンテンドースイッチで遊べるという事実は、購入を後押しする要素となりうる。もちろん、ローンチタイトルとなる「ゼルダの伝説 ブレス オブ ワイルド」のようなビッグタイトルに惹かれて、現行機の買い替え時期を待たずにニンテンドースイッチに乗り換える人も出てくるはずだ。

左は2017年冬に発売予定の「スーパーマリオ オデッセイ」。デモでは、マリオがニューヨーク風の現代的な町並みを疾走する姿が印象的だった。「ゼルダの伝説 ブレス オブ ワイルド」(画像右)は途中までプレイできたのだが、広大なマップを自由に探索できる「箱庭ゲーム」に、アクションや謎解きといったゼルダ的な要素を落としこんだソフトらしく感じた

開発中のタイトルとしては、スクウェア・エニックスがニンテンドースイッチ向けに完全新規のRPGタイトルを準備中との発表があった(画像左)。セガは「ソニック」を開発中らしい(画像右)。現時点で、開発中を含むニンテンドースイッチ向けタイトルは80以上、参加を表明している企業は50社以上とのこと

任天堂ファン以外には訴求できるか

他社製ゲーム機からユーザーを引き込めるかどうかについて考えると、ライバルのプレステ4は全世界の販売台数が5,000万台を突破するなど堅牢なユーザー基盤を構築していることもあり、簡単ではなさそうだ。任天堂によるとWiiは1億台強、Wii Uは1,336万台の販売実績があるそうなので、まずは既存ファンの需要を喚起し、特にWiiユーザーの買い替えを促すことが急務となりそうだ。すでに他社のゲーム機を持っている人が、ニンテンドースイッチが提示する新たな遊び方に魅了され、2台目のゲーム機として同機を購入するケースも出てくるかもしれない。

非ゲーマーを取り込む時に重要になるのは、ゲームに親しんでいない人でも遊びたくなるソフトを用意できるかどうかと、ゲーム以外のコンテンツを充実させられるかどうかだろう。