任天堂が次世代の家庭用据え置き型ゲーム機「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」を発表した。基本的に1家に1台の据え置き型ゲーム機の世界では、ソニーの「プレイステーション4(プレステ4)」が販売台数を順調に伸ばしている一方で、任天堂の現行機「Wii U」は前世代機の「Wii」に比べて販売台数が1割強と伸び悩む。家庭用ゲーム機の先駆者である任天堂は、次世代機で再び存在感を示すことができるのだろうか。

任天堂が家庭用据え置き型ゲーム機の次世代機を発表

3つのプレイスタイルを自由に“スイッチ”

ニンテンドースイッチの売りは、プレイスタイルを自由に切り替えて(スイッチして)遊べること。具体的にはテレビにつないで遊ぶ「TVモード」、タブレットのような本体にゲーム画面を映し出し、「Joy-Con(ジョイコン)」と呼ばれる小さなコントローラーで遊ぶ「テーブルモード」、本体にジョイコンを装着して携帯型ゲーム機のように遊ぶ「携帯モード」の3つのスタイルが選べる。発売は全世界同時で2017年3月3日、価格は日本で2万9,980円(税抜き)、米国では299.99ドル。2017年3月末までに全世界で200万台を販売する計画だという。

ゲームソフトは専用の「ゲームカード」を購入するかダウンロードして遊ぶ。本体容量32GBはゲームをダウンロードするには少ない印象だが、容量はマイクロSDカードで拡張できる。

左側の画像がTVモード時のニンテンドースイッチ。手で掴んでいる部分がタブレット状の「本体」で、この画像では専用の「ドック」に収まっている。いわゆるコントローラーが手前に見えるが、これは2つのジョイコン(赤と青の部分)を「ジョイコングリップ」に取り付けている状態で、このジョイコンを取り外し、本体の側面に取り付ければ携帯モードに移行する(右側の画像)

左側はテーブルモードで遊ぶ時の画像。ジョイコンは単体でコントローラーとして機能する(右側の画像)。例えば本体を知人の家へ持って行き、2つのジョイコンで同じゲームを同時に遊ぶといったような使い方が想定できる

ゲーム機のアイデアを集約

「これまで任天堂が提供してきた、数々のゲーム機のDNAを受け継いでいる」。任天堂の常務執行役員でソフト開発の責任者を務める高橋伸也氏は、ニンテンドースイッチをこのように表現した。

任天堂が世に問うてきた家庭用据え置きゲーム機を振り返り、スイッチが何を受け継いでいるかを考えてみると、例えば「ファミリーコンピューター」からは2つのコントローラー(つまりは複数のプレイヤー)で遊ぶという概念を、「ゲームボーイ」からはゲーム機の携帯性を継承している。

「NINTENDO64」からは同機が世界で始めて導入したアナログ入力用スティックとコントローラーの振動機能を、Wiiからはコントローラーを振ったり捻ったりする遊び方を、Wii Uからはテレビの前から離れてもゲームをプレイできるという概念を受け継いだ。持ち運びに便利な“取っ手”が付いていた、時代を先取りし過ぎた存在ともいうべき「ゲームキューブ」からは、据え置き型ゲーム機なのに外に持っていけるという、ニンテンドースイッチ最大の特徴を引き継いでいる。

任天堂のゲーム史を体現するのがニンテンドースイッチだ

「常に娯楽を追求」(高橋氏)してきた任天堂は、新たなゲーム機を発表するたびにユーザーが驚くような遊び方を提示してきた。ニンテンドースイッチは、同社が歩んできたイノベーションの歴史を1台に凝縮したようなゲーム機だ。ここで気になるのは、このゲーム機が提示する、プレイスタイルをスイッチするという遊び方がユーザーに受けるかどうかと、実際にニンテンドースイッチが売れるかどうかだ。