MVNOの急速な伸びによってSIMフリースマートフォン市場が拡大する中、カメラ機能に力を入れた「HUAWEI P9」「HUAWEI P9 lite」のヒットで人気を高めているのがファーウェイだ。12月には新しいフラッグシップ「HUAWEI Mate 9」を投入するファーウェイだが、同社が今年大きく躍進したのにはどのような理由があるのだろうか。

SIMフリー市場の先駆者でもあるファーウェイ

今年は、大手キャリアから回線を借りてモバイル通信サービスを提供するMVNOが、一層の躍進を遂げた1年といえるだろう。MVNOは昨年から注目されてきたが、中でもMVNOの利用者を大きく伸ばす要因となったのが、総務省の影響だ。

総務省は4月に「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を打ち出し、携帯電話大手3社のスマートフォンに対するによる行政指導を実施したことで、スマートフォンの実質0円販売が事実上禁止された。大手キャリアの端末価格が上昇したことが、より安価な料金を求めてMVNOへと流れるユーザーを増やしたといえる。

そのMVNOの躍進に伴って、人気を高めているのがSIMフリーのスマートフォンを提供するメーカーだ。中でも今年、大きな伸びを示しているのがファーウェイである。ファーウェイは日本におけるSIMフリースマートフォンメーカーの先駆的存在であり、2014年には「Ascend G6」を発売してSIMフリー市場に参入している。

だが参入当初のファーウェイ製スマートフォンは、日本の主要周波数帯に一部対応していないなど、日本向けに対応の弱さが目立ち、それがASUSなど後発のライバルメーカーにシェアを奪われることへとつながってしまっていた。しかしながら昨年発売した「HUAWEI P8lite」で、弱点の日本向け対応をしっかり進めたことで、ヒットを獲得して息を吹き返し、今年に入ってからは「HUAWEI GR5」「HUAWEI Y6」などミドル・ローエンドクラスの端末を相次いで投入して市場での存在感を高めてきた。

日本向け対応が弱かったファーウェイのSIMフリースマートフォンだが、「HUAWEI P8lite」でその問題を解消したことで、ヒットモデルを生み出す土壌が出来上がった

そして6月には、HUAWEI P8liteの後継モデル「HUAWEI P9 lite」と、その上位モデルである「HUAWEI P9」を投入。P9はライカと共同開発したレンズを用い、一方がカラー、一方がモノクロという独自のダブルレンズ機構を採用。美しいモノクロ写真やボケ味のある美しい写真などが簡単に撮影できることから、大きな注目を集めた。

ファーウェイが今年発売した「HUAWEI P9」。カラーとモノクロのセンサーを採用したカメラを1つずつ用意するダブルレンズ機構を備えていることが注目された

P9、P9 liteは共に発売直後から、SIMフリー市場で他社のモデルを抑えヒットを記録。MVNO市場拡大の勢いに乗って販売台数も大幅に伸ばしており、スマートフォン市場全体でもファーウェイのシェアを大きく押し上げているようだ。ちなみにファーウェイ側の発表によると、家電量販店や併売店を主体とした一部の調査では、日本のスマートフォン市場全体でファーウェイの販売台数シェアが4位に上るとのことだ。