20数年前、空前のアウトドアブームが到来した。ルアーフィッシングやフライフィッシングといったゲームフィッシングが人気を博し、ゲレンデではなくより一層自然を感じ取れるクロスカントリースキーの愛好家も増えた。ダッジオーブンで本格料理に挑戦したり、お酒愛好家はたき火を囲んでバーボンに舌鼓を打ったりした。こうしたレジャーの拠点とするべく、テントを立てキャンプを楽しんだ方も多かっただろう。

かくいう筆者も、学生時代は渓流でのフライフィッシングに没頭し、就職して出版社に入社した際にはアウトドア用品を紹介・レビューする雑誌に配属された。もっとも、筆者は渓流釣りに行った際は、テントを立てるのが面倒で、車中泊がほとんどだったが……(笑)。

アウトドアレジャーへの消費がインドア機器に

だが、隆盛を極めたアウトドアブームは、1990年代半ばになるとかなり下火になる。その一因となったといわれるのが携帯電話の普及だ。携帯電話がレンタル制から買い取り制になったこと、阪神淡路大震災のとき、携帯電話の利便性が注目されたことで、一気に普及が進んだと記憶している。

さらに、インターネットの浸透によりパソコンの需要も高まってきたし、若者のあいだではプレイステーションが大人気となった。つまり、アウトドアに向かっていた消費が、通信機器やインドア向け機器へと転向していったのが、アウトドアブーム凋落の一因といえるのだ。私が所属していたアウトドア雑誌も休刊となった。

だが、2016年、キャンプを楽しむユーザーが増えているというニュースに接した。

メガスポーツ 白石勝大氏

全国で最大級フロアのスポーツショップ「スポーツオーソリティ」を運営する、メガスポーツ 商品本部 アウトドア推進部 担当部長 白石勝大氏は、「キャンプ人口が増えているのがマスコミ等に注目され始めたのは今年ですが、ブームの兆しは2~3年前からありました」と話す。

事実、スポーツオーソリティのここ数年の売り上げは、毎年2ケタ%増で伸びているという。 さらに白石氏はこうも続ける。「ファミリーでキャンプを楽しむ方が増えています。以前のアウトドアブームの際、ファミリーで楽しむ方もいらっしゃいましたが、男性一人で質素に、いわば“チープ”にキャンプする例も多かったです」。

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