ソリッドワークス・ジャパンは11月8日、年次イベント「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016」を東京・渋谷で開催した。同イベント内で行われた記者説明会では、SOLIDWORKSブランドの製品ポートフォリオ管理部門 シニアディレクター兼SOLIDWORKSブランド UXリーダーであるキショア ボヤラクントラ氏がSOLIDWORKSのIoT戦略について語った。

SOLIDWORKSブランドのIoT戦略について語ったキショア ボヤラクントラ氏

IoTでもSOLIDWORKSは"設計"が軸

ボヤラクントラ氏はまず、IoTデバイスの複雑性について次のように説明。「IoT製品は、電源、無線モジュール、組み込みエレクトロニクス、配線、アセンブリ、センサーなどさまざまな要素で構成されるほか、クラウドに接続しデータを送信する。こうしたコネクテッドなデバイスの開発はとても複雑で、多くの企業ではすべてのコンピテンシーを持っていない」(ボヤラクントラ氏)。

IoTデバイスの例。こちらはIoT火災報知器「Halo」

こうした複雑な開発に対しSOLIDWORKSでは、設計や構造解析をはじめ、熱解析、電磁解析が可能であるため、ボヤラクントラ氏は「IoT製品の設計に求められる作業を全てSOLIDWORKSで行うことができる」とする。もちろん、IoTではデバイスでデータを収集し、それを解析することが重要となる。SOLIDWORKSでは、IoTプラットフォームである「Xively(LogMeIn社)」、データの解析およびデバイス間の作動ルールの規定が可能なダッシュボードソリューション「Netvibes(ダッソー・システムズ)」と連携することで、設計した製品の"IoT化"を可能としている。

ボヤラクントラ氏は、SOLIDWORKS、Xively、Netvibesを使えば「いくらか簡単に」IoT製品の開発が可能になるとする

また、同氏はIoT向けツールとして現在開発中である「ウィジェット ガジェット」を公開した。同ツールはSOLIDWORKSのアドオンとして機能するツールで、製品に搭載されたセンサーのリアルタイム情報を収集・見える化し、その情報をスマートフォンなどで表示可能とする。現在ユーザーテスト中とのことで、SOLIDWORKS 2018のリリース以降に提供開始となる見込みだという。「SOLIDWORKSとXivelyを活用すれば(ウィジェット ガジェットのように)、バーチャルツインを作ることができる」(ボヤラクントラ氏)。

「ウィジェット ガジェット」のデモ。デバイスのセンサーで収集したデータを見える化し、スマホでも表示している

IoT戦略について説明した同氏であるが「あくまでSOLIDWORKSのコアコンピテンシーは設計の部分。そこに軸足を置き、Xivelyのようなパートナーと連携していく」と語り、IoTという枠組みにおいても"設計ツールとしてのSOLIDWORKS"は変わらないとした。

X Designの開発は順調

ボヤラクントラ氏はSOLIDWORKS全体の製品ポートフォリオを担当しているということもあり、同説明会ではIoT戦略以外についても言及。2016年2月に米国テキサス州ダラスで行われた年次イベント「SOLIDWORKS WORLD 2016」で発表された「X Design」の開発進捗に関して「現在ベータテスト中。コンピューターが設計を支援する機能についてはウケが良い」と明かした。

「X Design」は要件を与えるだけでそれに応じたデザインが自動生成されるジェネレーティブデザインという技術を製品化したもの。SOLIDWORKS WORLD 2016でジャン・パオロ・バッシCEOが開発に着手したことを明かしていた。