マイクロストラジー・ジャパン プレジデント 印藤公洋氏

マイクロストラジー・ジャパンはこのほど、「マイクロストラテジー・シンポジウム」を開催した。同シンポジウムでは、同社プレジデントの印藤公洋氏がアナリティクスプラットフォーム最新版「MicroStrategy 10.5」を紹介するとともに、同社の最新のビジョンと方向性について講演を行った。

印藤氏は初めに、同社のビジョンは「Intelligence Everywhere」であり、これを実現するために統合的なプラットフォームを提供していると述べた。同社のプラットフォームの特徴については、「われわれは単一の統合プラットフォームで、エンタープライズクラスのアナリティクス、モビリティ、セキュリティを提供する。他社の製品はこれらの一部のみカバーしているにすぎない」とした。

さらに、「他社は買収を重ねることで、製品のラインアップを拡充している。これに対し、われわれはすべて自社で開発しているので、ラインアップにムダがない。使えば使うほど、TCOを下げることができる」と、印藤氏は同社のアドバンテージをアピールした。

デスクトップ製品を無償提供

続けて、印藤氏は今年9月に発表された「MicroStrategy 10.5」について説明を行った。同製品は機能拡張に加え、デスクトップ製品の無償提供の開始、サポートプランの刷新などが行われている。

印藤氏は「新機能はユーザーのニーズに応えたもの」とし、10.5の主要な新機能を紹介した。例えば、10.5よりRESTful APIがサポートされており、これを用いて、カスタムアプリケーションとの統合が容易になった。これにより、「Intelligence Everywhereを実現できる」と同氏。

「MicroStrategy 10.5」の特徴

また、無償で提供が開始されたデスクトップ製品はMacとWindowsの双方をサポートしており、70以上のデータソースに接続して、データ加工、ビジュアライゼーションといったことが可能だ。

データの準備・加工としては、置換・列結合・空白行への値のコピーといった加工作業のほか、処理内容の保存(スクリプト作成)や加工処理の自動適用が行える。

ビジュアライゼーションについては、350以上の関数ライブラリを用いて高度な分析が可能であるとともに、R言語との連携による予測分析、ESRI MapとGoogle Mapsとの連携がサポートされている。

「MicroStrategy Desktop」の特徴

印藤氏はデスクトップ製品はサーバ製品の一部の機能を無償で利用できるものだが、企業としてデータ活用に取り組むと、サーバ製品が必要になると述べた。デスクトップ製品とサーバ製品を同時に利用することによるメリットとしては、「ガバナンスの強化」「セキュリティの強化」「多彩なデータアクセスに対応」「利用可能なBI機能が拡大」「Webとモバイルからの利用に対応」が挙げられた。

デスクトップ製品とサーバ製品を併用する際のメリット

エンタープライズBIとセルフサービスを両立

MicroStarategy Senior Executive Vice President,Worldwide Sales & Chief revenue Officer Dave Rennyson

今回、シンポジウムの開催に伴い、来日したMicroStarategy Senior Executive Vice President,Worldwide Sales & Chief revenue Officer Dave Rennyson氏にも話を聞くことができた。

Rennyson氏は、「トラディショナルなBIベンダーや新興のデータディスカバリーツールのベンダーは、エンタープライズBIとセルフサービス・アナリティクスのいずれかしか提供することができない。これは、IT部門主導のBIもしくはユーザー主導のBIしか成り立っていないことを意味する。しかし、われわれはガバナンスが利いた状態で、エンタープライズBIとセルフサービス・アナリティクスを統合的に提供できる。言い換えると、IT部門がガバナンスを利かせること、ユーザーは自由にアナリティクスが行えることが両立できるということだ」と同社のアドバンテージについて語った。

ちなみに、「ガバナンス」とはデータの信憑性を担保することを意味するという。具体的には、企業で利用されているさまざまなデータを1カ所に格納し、経営層向けのレポートも現場が利用するレポートも同じデータソースにアクセスすることで、データの信憑性が確保される。

さらに、社内および社外のさまざまなデータを統合して、ビジネスの種を見つけることが「ディスカバリ」であり、これらをわかりやすい形で視覚化することが「ビジュアライゼーション」となる。これらを実現するのが、マイクロストラテジーの統合プラットフォームというわけだ。「われわれは専業ベンダーとして、従来のBIの機能を統合プラットフォームで提供している点が強みだ」とRennyson氏。

「MicroStrategy 10.5」については、「これまでのプラットフォームをベースに改良を加えた革新的なバージョン」と表した。その特徴について、Rennyson氏は次のように語った。

「Android、iOS、スマートフォン、デスクトップのWebなど、どこにいてもあらゆるデバイスを用いて、同じ環境で情報にたどりつくことができる。また、最近、IoTやビッグデータがアナリティクス分野におけるトレンドとなっているが、Hadoopにもアクセスできるなど、さまざまな種類、形態のデータにアクセスすることが可能だ。提供形態もオンプレミスに加えて、クラウドオプションを提供しており、ユーザーのさまざまなニーズに応えることができる」

日本市場について聞いてみたところ、「経済状態がしっかりしているので、われわれにとっても戦略的な市場の1つ」という答えが返ってきた。一般に、日本はデータ活用が遅れていると言われているが、Rennyson氏は「企業によって事情は異なるものであり、まったくそうは思わない」と語った。

そして、Rennyson氏は企業がデータ活用を進めるためのアドバイスとして、「まずは、データを理解すること。次に、ワークショップを開いて、問題を明らかにし、解決していくこと」と教えてくれた。

今年はIoT、ビッグデータを追い風に、データ・アナリティクスに対する需要がますます高まっており、セルフサービスBI市場も大きく伸びている。大幅な機能拡張、デスクトップ製品無償化などを武器にマイクロストラテジーがどこまで成長していくのか、期待したい。