Microsoftは9月29日(以下すべて米国時間)、Anniversary UpdateことWindows 10 バージョン1607向けに更新プログラム「KB3194496」を配信した。だが、一部の環境で問題が発生し、本稿執筆時点では未解決のままだ。すべての利用者がトラブルに見舞われる訳ではないが、今回はKB3197356にまつわる一連の流れを報告する。
KB3194496に関するトラブルで代表的なのは、一部の環境でインストールが終わらないという現象である。筆者の環境では問題なくビルド14393.222に更新されたが、KB3194496のインストールに失敗し、デバイスが正しく動作しなくなったなど、多くのトラブルが報告されている。
Microsoftは自社のコミュニティサイトに投稿された回避方法のスレッドで、「我々はこの問題に取り組み、KB3194496のインストール防止を修正するクリーンアップスクリプトを作成中だ」と10月4日に回答した。
翌日の10月5日にはMicrosoft Download Center経由で「Windows 10 1607 Script fix to unblock update for Windows Insiders」を公開。筆者も試してみたが、そもそもトラブルが発生が発生していないため効果を報告するのは難しい。そこでダウンロードした「UpdateRegistry.msi」を展開してみると、中身はPowerShellスクリプトだった。
「Windows 10 1607 Script fix to unblock update for Windows Insiders」の実体となるPowerShellスクリプト「FixRegistryPowerShellPs」の内容 |
「Windows 10 1607 Script fix to unblock update for Windows Insiders」を実行すると、PowerShellスクリプトが稼働していることを確認できる |
そして10月6日にMicrosoftは「KB3197356」をリリース。変更点として「Microsoft Edge使用時に、HTTPリダイレクトで移動した先の一部Webサイトが、適切ではない文字コードを指定している際に正しく表示されない問題を修正した」と説明している。
だが、コミュニティサイトには「私の環境ではまだ失敗する」といった報告や非難が続いていた。「Windows 10 Insider Previewでバグを検知できなかったのか」という声もあるが、CB (Current Branch) 版に対する更新プログラムとWindows 10 Insider Previewでは更新するシステムファイルの数が段違いのため、単純に比較するのは的外れだろう。いずれにせよ、これらがKB3194496による一連の流れである。
前述したように筆者の環境では大きなトラブルは発生していないものの、実のところ、別の更新プログラムで適用が終わらないという現象に見舞われた。幸い1日放置することで、ロールバックも発生せずに適用を終えたが、これがメインPCでは目も当てられず、利用者から上がる戸惑いの声は十分に共感できる。
筆者の推測に過ぎないが、今回のトラブルはKB3194496ではなく、Windows 10自身に根本的な問題があるのではないだろうか。各所に空いた穴を補強してきたが、土台となる柱の1つに亀裂が入って今回の問題を引き起こしたように感じるのである。
他方で、KB3194496にまつわるトラブルは、Windows 10やMicrosoftに対する不信感につながる。バグフィックスは欠かせないアクションだが、それが原因で基盤たるOSが安定動作しないのは元の木阿弥だ。2017年春頃と言われている次期大型アップデートでは、抜本的な改善をWindows 10開発チームに求めたい。
阿久津良和(Cactus)