無料分の切分と通信量目安が明確になることを望む
では、ポケモンGOが利用する通信すべてを無料にすることはできないのだろうか?
プラスワン・マーケティングが通信の判定を、きっちりと行えばいいのではないかとも思うが、いわゆる「通信の秘密」があるので難しい。プラスワン・マーケティングは、IPアドレスとポート番号、HTTP/TLSヘッダで判断しているとしている。
通信先も変化する。日本通信も「ゲームSIM」でFREETEL SIM同様、ポケモンGO向けに通信量をカウントしないサービスを提供している。ただし、地図やポケストップが表示されないトラブルが起きているようだ。
ゲームSIMの「よくある質問」には「接続先はPokemon GOによる通信、App Store、Google Play、商品ホームページ、お客様ページMy b-mobileに限定します」と記載されているのでポケモンGOの仕様変更に伴うトラブルだと思われる。今まではNiantic経由、あるいは日本通信が把握しているサーバーだったが、社内仕様の変更で別のサーバーとやり取りするようになった結果、表示されなくなったのだろうと筆者は推測している。
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事実上ポケモンGO専用SIMとなっている日本通信の「ゲームSIM」でのトラブル例。Niantic,Inc.と協力しあわない限り、同じようなトラブルが起こると思うが、Niantic,Inc.にコメントを求めても、協業や提携についての回答は得られなかった |
となると、Google Mapへの通信も無料にすればいいだろうか? そうすると副作用として「Google Mapが無料」になり、これはマップの転送によるデータ量が多いのでFREETEL SIMの負担が増える。このあたりは、マーケティングの予算と効果のさじ加減だ。
FREETEL SIMでは、これまでも「メッセンジャーアプリ データ通信料0円サービス」を提供しており、今回は、ポケモンGOでの通信料0円サービスという形になる。
筆者は、このメッセンジャー無料サービス発表の際の説明会を取材しているが、その際対象となる「LINE」「WhatsApp」「Facebook Messenger」「WeChat」もすべて無料なのではなく、LINEならば「無料範囲は、テキストメッセージ、画像、スタンプに限られ、動画、音声メッセージ、音声通信・ビデオ通話等はパケット使用料がかかる」という説明だった。これはよりパケット代を必要としてしまうものまで無料にはできないという意味で納得できる。これらは、公式サイトに表で示されているので、一般ユーザーが理解しにくいという事もないだろう。
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FREETEL SIMの「メッセンジャーアプリ基本無料」の一覧。たとえばLINEならメッセージと画像、スタンプまでは無料で音声や動画は対象外だが、このように明記してあればユーザーもわかりやすく、納得できるだろう |
今回このような記事を書いたのはポケモンGOだけ遊んでいてもパケット使用料がかかるという現実が一般ユーザーにわかりにくいと判断したためだ。
「Pokemon GO データ通信料0円サービス」も「メッセンジャーアプリ データ通信料0円サービス」同様、無料の範囲を表で明示し、できればプラスワンマーケティング調べとして、1時間歩いていると、これくらいGoogle Mapの通信量がかかりました、という目安を示してほしい。そうすれば1日○○時間ぐらいなら最低限の100MBとか、次の1GBまで遊べるというメドがわかる。
無料と書くだけでなく、有料の範囲をわかりやすく記載することを望みたい。
ちなみに通信の割合等に関しても、プラスワン・マーケティングに直接問い合わせているが「利用状況によって異なり一概には言えないため、具体的な数値は控えさせていただきます」という返答だった。
一方、「本サービスに限らず、FREETEL SIMのお客様にご満足頂けるかが当社にとって最も大事な指標のため、他社様がどういったサービスを提供されるかではなく、お客様の声に耳を傾けて、よりよいサービスを提供してまいる所存です」という回答も得ている。改善を促すためにはユーザーが声を上げなければならないだろう。