アナログ・デバイセズ(ADI)は9月14日、スマート・グリッド機器のモニタリングを強化することで、機器に悪影響を及ぼすシステム障害を防止し、家庭や企業への送電効率を向上させる新しいデータ・アクイジション・システム(DAQ)向けIC「AD7616」を発表した。

電力需要の拡大と、再生可能エネルギーによる発電の登場を受け、電力会社では送配電網のモニタリング範囲を広げ、データ粒度および精度を向上させることが喫緊の課題となっている。

「AD7616」は測定精度クラス0.2(測定誤差0.2%未満)を実現し、より高速、高精度ながら低価格の障害検知機器の開発に貢献する。これにより、保護リレー装置(電流や電圧の急激な変化から電気回路を保護するための装置)が損傷した場合に発生する修理・交換コストを最小限に抑えることができるとする。

同製品は±10V、±5V、±2.5Vのバイポーラ入力および1ADCあたり最大1MSPSのスループットを実現。5V単電源で動作するほか、内蔵のフィルタリング機能により高入力インピーダンス(1Mオーム)に対応する。また、ドライバ・アンプや外付けのバイポーラ電源も不要で、低電圧送配電用のリレー保護やフィーダー・ターミナル・ユニットなど、各種送配電用装置のほか、マルチフェーズ・モーター制御や産業用計測機器にも適している。

「AD7616」は80ピン LQFPパッケージで提供され、すでにサンプル出荷が開始されている。量産出荷は2016年10月を予定しており1000個受注時の単価は11.96ドルとなっている。