シスコシステムズは7月8日、データセンター内にあるパケット、フロー、帯域利用などをリアルタイムに可視化する新プラットフォーム「Cisco Tetration Analytics」(シスコ テトレーションアナリティックス、以下単にTetrationという)を発表した。

Cisco Tetration Analyticsの概要

Tetrationでは、ハードウェアおよびソフトウェアのセンサーから収集した情報を、アプライアンス製品であるTetration Analyticsプラットフォームに送信し、情報の解析、可視化を行う。Tetration Analyticsプラットフォームは、オンプレミスに導入されるフルラック アプライアンスとして8月に提供される予定だ(価格は未定)。

ハードウェアのセンサーは、同社のネットワーク スイッチであるCisco Nexus 9200-X、Cisco Nexus 9300-EXのASICに組み込まれ、全ポートからのフローデータを収集。1台のTetrationアプライアンスで1秒間に最大100万のユニークフローを監視できるという。

Cisco Nexus 9300-EX

フルラック アプライアンスとして8月に提供されるTetration Analyticsプラットフォーム

ソフトウェアセンサーは、サーバの仮想マシンまたはベアメタルごとにソフトウェアをインストールすることで情報を収集する。Tetrationの最初のリリースでは、ソフトウェア センサーはLinuxとWindowsのサーバに対応する。ソフトウェアは8月から提供される予定で、価格は未定だ。

Tetration Analyticsは、ハードウェアやソフトウェアセンサーからテレメトリー情報(ヘッダ情報)を収集して保存。保存するデータには重複は排除も行う。そして、その膨大なデータを機械学習技術によって分析する。

Tetrationには、主に4つの活用シーンがあるという。

1つ目はデータセンター全体およびクラウド内で相互に依存関係にあるアプリケーションのやり取りを可視化すること。2つ目はデータを保存するこで、過去に遡ってデータを分析できること。3つ目は情報に基づいてポリシーを変更した際、どのような影響が起こるかを事前に検証できること。そして4つ目は、アプリケーションの動作を継続的に監視することで、通信パターンの異常やポリシー違反(暗号化していないなど)を検出して管理者に警告することだ。

分析結果画面

Tetrationの活用シーン

米Cisco バイス プレジデントInsieme ビジネス部門 プロダクトマーケティング Rajeev Bhardwaj(ラジーヴ バドワージ)氏はTetrationをリリースした背景を、「現在のデータセンターはブラックボックスになっており、非常に巨大だ。ただ、可視性がなく、データセンター同士の依存関係も不明だ。アプリケーションが遅いといったことが起きても、どこにボトルネックがあるのか特定しにくにい。パブリッククラウドであれば、調査も難しい。また、データセンター内でのトラフィックが増えており、巨大化している」と説明。

同氏は他社製品との違いを、「他社はサーバベースの製品が多く、互いの相関関係を分析するのが難しい。われわれの製品はアプリケーション同士の依存性もわかり、End to Endで分析できる。そこが大きな違いだ」と優位性をアピールした。

米Cisco バイス プレジデントInsieme ビジネス部門 プロダクトマーケティング Rajeev Bhardwaj(ラジーヴ バドワージ)氏

そして、シスコシステムズ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業担当 藤本司郎氏は日本市場での展開について、「たくさんのアプリを持っているユーザが対象で、金融、政府・官公庁、サービスプライダの市場に提案活動を行っていく」と述べた。

シスコシステムズ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業担当 藤本司郎氏

日本でのターゲット

Tetrationは現状ネットワーク関連の情報の収集に留まっているが、将来はエコシステムを構築し、たとえばストレージのI/Oに関するデータ等を統合することも視野にいれているという。