Mozillaは、6月7日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなる「Firefox 47」をリリースした。前バージョンの46からは、46.0.1がリリースされている。46.0.1では、以下の修正が行われた。

  • アドオン署名証明書の期限切れの修正
  • サービスワーカーの更新問題の修正
  • JIT無効化時のビルド問題の修正
  • ウイルス対策ソフトに関連したページ読み込み問題の修正
  • さまざまなロケールの検索プラグイン問題の修正
  • Sync登録更新の制限の修正

したがって、Firefox 47へのバージョンアップは、46.0.1からとなる。本稿では、Firefox 47の新機能などを解説し、メニューバーを一括管理するAll Menus Buttonアドオンを紹介する。

Firefox 47のインストール

では、手動でアップデートを行おう。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[Firefoxを再起動して更新]をクリックする(図1)。

図1 Firefox 47へのアップデート

新規に、Firefox 47をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラーをダウンロードする(図2)。

図2 Firefoxのダウンロードページ

[Firefox無料ダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図3)。

図3 Firefox 47のインストール

画面の指示通りにインストール作業を進めてほしい。以降で、Firefox 47の新機能や変更点を見ていこう。

Firefox 47の新機能

Firefox 47の新機能であるが、以下の通りである。

  • Windows版とMac版でGoogleのWidevine CDMを利用可能に。その結果、Amazon Videoのようなストリーミングサービスを、Sliverlightから暗号化されたHTML5に切り替えて利用可能に
  • 高速なマシンを使用している場合、VP9コーデックを利用可能に
  • Flashがインストールされていない場合、ページに埋め込まれたYoutubeの動画再生をHTML5のvideo 要素を用いて行う
  • スマートフォンや他の端末開いたタブの一覧表示や、検索がサイドバーで可能に
  • 進む、戻るを行った際に、httpsで配信されるリソースのno-cacheが可能に
  • ラトガレ語がロケールに追加

とくに見た目や操作において、意識するような新機能はない。図4は、iPodのFirefoxと同期したタブをサイドバーに表示したものである。

図4 サイドバーの同期タブ

サイドバーの表示は、メニューバーから[表示]→[サイドバー]→[同期タブ]で行う。変更点は、以下の通りである。

  • FUEL(Firefox User Extension Library) が削除。これにより依存するアドオンが動作しなくなる
  • e10sの性能に関する問題を避けるため、browser.sessionstore.restore_on_demand preferenceの値が標準のtrueにリセット
  • click-to-activeプラグインのホワイトリストが削除

今回、注目したいのは、FUEL(Firefox User Extension Library)の削除であろう。FUELは、Firefox 3で導入された拡張機能向けのJavaScriptライブラリである。以前より、削除されるとの噂もあったが、バージョン46まで存在し続けていた。それが、今回、削除となったのである。すでに多くのアドオンは、FUELからの依存を解消している。しかし、少し古いアドオンで、FUELを使っている可能性もある。アドオンの動作がおかしかった場合などは、この可能性を疑ってみるといいだろう。しかし、メンテナンスの終了したアドオンでは、対応される可能性は少ない。新たなアドオンを探すことが解決策になるだろう。

そして、アドオンに関してもう1つ紹介したい。デジタル署名が付されていないアドオンをインストール可能にする設定(xpinstall.signatures.required)は、引き続き残されている。この設定もバージョン42以来、削除の予定だったものが、4度目の延期となった(Firefox 48で削除とアナウンスされてはいるが)。こちらもアドオンの利用で問題が発生しかねない要素である。多くのアドオンを使用しているのであれば、こちらも注意すべきであろう。

開発者向けやHTML5に関する新機能は、以下の通りである。

  • 登録済みのServieWorkerの一覧と起動、デバッグをService Worker開発ツールで可能に
  • プッシュメッセージをシミュレートする機能がService Worker開発ツールに実装
  • about:debugging内に登録されたService Workerを起動する「開始」ボタンが追加
  • ChaCha20/Poly1305暗号スイートに対応
  • レスポンシブデザインモードで、ユーザエージェントを変更可能に
  • コンソールで複数行の入力が可能に
  • TextTrackオブジェクトでcuechangeイベントが利用可能に
  • WebCrypto:PBKDF2がSHA2アルゴリズムをサポート
  • WebCrypto:RSA-PSS署名に対応

Web開発者向けの変更点の詳細は、図5のWebページを参照してほしい。

Firefox 47のアドオン互換性情報については、図6のWebページを参照してほしい。