長期割引はドコモが有利! MNP離れにも効果的?

こうして3社を並べてみると、現金値引きのドコモと、ポイント還元のau・ソフトバンクというように分類できる。各社ともにARPU(Average Revenue Per User : 1ユーザーあたりの月額売り上げ)の維持・上昇に邁進している中、ARPUを下げてしまう単純値引きよりも、ポイントで還元したほうが、何かと都合はいいのだろう。そういう点ではドコモはわかりやすく値引きで攻めてきており、長期ユーザーへの優遇に積極的だ。

ちなみにドコモは2015年度の決算発表において、MNP転出が2014年度から2015年度でおよそ70%も減少したことを明らかにしている(転出は約10万契約)。「ずっとドコモ割」は2014年からスタートしているので、iPhoneの扱いを開始したことと加えて、かなりの効果を発揮しているようだ。還元率で見ても、ドコモが一番率が高く、そういう意味では最も「残り甲斐がある」キャリアだと評価していいだろう。

ちなみに2012、2013年度は130~140万件のMNP転出があっただけに、2014年度の38万件だけでも立派なもの。10万件というのは過去最低レベルの転出に収まっている

auの場合、ポイント還元だけでなく、3カ月に1回パケットの付与もあるので、単純に金額だけの比較は難しい。パケット1GBを仮に1,000円前後と想定した場合、4年目で月額333円前後の割引が行われるのと同等だからだ。ただし、上述したように3カ月に1回と変則的で、もともとパケット利用は個人差もあるため、ライトユーザーの余剰の帯域を書類上で割り当てているだけと考えればau側に大きな損はないはず。ヘビーユーザーであればパケット付与のほうが嬉しいと思う人もいるだろうが、本当に長期利用者のことを考えた割引なのかは疑問が残る(だからau STARロイヤルを追加したのだろうが)。

ソフトバンクは全体的に長期ユーザー対策において低調だが、前述したように、そもそも長期ユーザーの割合が低いことから、新規/MNP転入に重点をおいたほうが有利なのだろう。とはいえ、iPhone 3Gの導入から今年で9年目を迎えるわけだが、本当にユーザーを大事にするならポイント率のアップを10年目ではなく8~9年目に前倒ししておいたほうが、MNP転出を防ぐ策になったように思う。最近はすっかり鳴りを潜めた感があるが、長期ユーザー優遇策においても、かつてのような「攻め」のソフトバンクを見てみたい気もする。