日立システムズは5月31日、各種センサーやIoT(Internet of Things)技術、全国約300か所のサービス拠点を活用し、公共構造物や設備の防犯対策やメンテナンス時の安全確保を支援するサービスなど、社会インフラ分野向けのサポートサービス事業を強化すると発表した。強化の第1弾として、上下水道やガス、電気に関するマンホールを保有している自治体・公益企業向けにマンホールの保全・防犯対策ソリューションを提供するため、トミス、イートラスト、シスコシステムズと協業・連携し、4社は同日から2016年12月まで実証実験を行い、2016年度中のサービス提供開始を目指す。

近年、上下水道やガス、電気設備に関わるマンホールは排水処理能力を上回るゲリラ豪雨や老朽化などによる蓋の破損や飛散の対策などが急務となっている。また、蓋の窃盗やテロ行為の対象にマンホールが利用される懸念があり、人々が安心してより安全な生活を送るためには、マンホールに起因する問題に対する取り組みが求められているという。

このような状況を鑑みて、日立システムズはパートナー3社と連携し、IoT技術や同社のサービス拠点を活用したマンホールの保全・防犯対策ソリューションの開発に取り組む。同ソリューションでは、マンホール内に危険物を設置されることを防ぐため、蓋の開閉状態を常時監視・通知するほか、設備点検作業前に作業員を事故から守るため、有毒ガスの発生有無、水質・水量などの状態監視をセンサやIoT技術を活用して行う。

センサで収集した情報は日立システムズのデータセンターにあるクラウド型遠隔統合監視基盤上で監視するほか、コンタクトセンターでの監視代行や通報代行、全国のカスタマーエンジニアを活用した点検・作業代行などもオプションサービスとして提供し、マンホールの保全・防犯対策をトータルにサポート。

マンホールの保全・防犯対策ソリューションのイメージ

これにより、利用客はマンホールの蓋の開閉状況を監視ポータルを通じてリアルタイムに確認することが可能になると同時に、事件や事故に対する早期対策が可能になるという。今後、トミスの敷地内で実用化に向けた実証実験を進め、2016年度中のサービス開始を目指す。

また、日立システムズは、既に製品化している公共構造物の台帳管理機能や長寿命化計画、補修計画策定支援機能を備えた「CYDEEN社会インフラ維持管理システム」との連携や、マンホール以外の公共構造物や設備の防犯対策やメンテナンス時の安全確保を支援するサービスも検討していく予定だ。