ハードウェア面では16nmへの微細化、それに加えて周辺部分の改良で大きな進化

以上のように、NVIDIAの新しいGPUであるGeForce GTX 1080の技術的な詳細を見てきた。ハードウェアから言えば、マイクロアーキテクチャはMaxwell世代から大きく変わっている訳ではなく、基本的にはMaxwell世代の改良版だと言っていいだろう。

しかし、製造プロセスルールが28nmから20nmを飛び越え、16nmへと一気に2世代分も微細化されたため、その分のメリットとしてSM数、そして演算器の増加、動作クロックの大幅な向上、さらには電力効率の改善などが実現されている。

それに加えてGDDR5Xへの対応、Asynchronous Compute、HDRへの対応、さらにはGPU Boost 3やFast Sync、さらには新しいSLI HBなどアーキテクチャ、プラットフォーム面での改良もメリットは小さくない。それらすべてを合算してゲームでは1.7倍、VRでは2.7倍というGeForce GTX 980からの性能強化が実現されているのだ。

なお、すでに明らかになっているように、GeForce GTX 1080と、そしてその下位モデルになるGeForce GTX 1070には、Founders Edition版と無印版の2つが用意されている。Founders Editionというのは、これまでリファレンスボードやNVTTMなどと呼ばれていた、NVIDIA自身がデザインしたサーマルソリューション(ヒートシンクやファン)が装着されているバージョンで、無印はサーマルソリューションはボードメーカー自身がデザインした製品となる。

以前は、リファレンス版と言えば、ボードメーカーがデザインした製品よりも貧弱なサーマルソリューションだったが、現在のリファレンス版はボードメーカーの製品よりも高級な素材を使ったサーマルになっており、むしろリファレンス版の方が高性能という位置付けになっている。このため、Founders Editionは無印版よりも高い価格設定となっている。

GeForce GTX 1080の発売予定日である5月27日には、まずこのFounders Editionが各社から登場し、その後ボードメーカーの無印版が登場することになる。この発売日は全世界共通となっているが、時差の関係で日本では5月27日の深夜からとなる。深夜販売を行わないショップの場合には、5月28日の昼間からの販売となるので、興味があるユーザーは早めにショップなどで予約しておいた方がいいだろう。

NVIDIAのGeForce GTX 1080 Founders Edition。Founders Editionは高性能、高品質のクーラーなどを採用している