MicrosoftのCEOがSatya Nadella氏に交代してから、Microsoftは大きく変化してきた。「人から必要とされるWindows」から「選ばれ、愛されるWindows」となるよう、その形を変えている。改めてそれを強く感じたのが、先日開催された「Windows Insider Meetup in Japan」だ。18日に掲載したレポート記事ではすべての内容を伝えられなかったため、その続きを報告する。
Windows Insider Meetup in Japanにおいて、日本マイクロソフト デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 プラットフォームエバンジェリストの高橋忍氏はまず、Build 2016の報告を行った。なかでも興味深かったのが会場の様子である。Build 2016は有料イベントのため、Microsoft関係者はキーノート会場に入れないそうだ。一応、別室のモニタールームで観戦できるのだが、それなら日本からストリーム動画を視聴しても変わらない。
上の写真は展示会場の各所を高橋氏が撮影したものだ。Build 2016は開発者向けカンファレンスのため、ブレイクアウトセッションなどで説明されたコードを、参加者がその場で試すためにCode Challengeコーナーが用意されている。また、Code ChallengeのXbox One版もある。Build 2016の基調講演では、Xbox One Dev Modeが紹介されたが、PCと同じようにUnityなどを使って目の前でコーディングし、Xbox Oneでデバッグできるという。
iOS用アプリケーションのソースコードをUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)化するBridge for iOSの担当者に、Objective-CとSwiftの問題を訪ねたところ、「朝からそれしか聞かれない」とぼやいていたそうだ。iOS向けアプリケーションはObjective-Cという開発言語を用いているが、現在はSwiftに移行しつつある。さらにAppleはSwiftをオープンソース化しているため、FacebookやUberは開発の中心に採用し、Googleも検討している状況だ。Bridge for iOSの担当者によると、開発は続けるがSwiftに対応するかは不明だという。
Windows 10 Insider Previewのリング構造について、会場では実際にCanary(カナリア)リングに切り替えるデモンストレーションを披露。下図に示したとおり、こんな所まで日本語化されていると会場の笑いを誘っていた。
Windows Insider Meetup in Japanでは、インサイダーがWindows 10についてMicrosoft関係者に訴える「InsiderによるLightning Talk」も行われた。Microsoft Edgeの開発者向け機能として用意されているWeb Notificationsや、Windows HelloのWeb認証のデモンストレーションを披露した。別のインサイダーはWindows 10 Mobileに特化し、187回ものフィードバックや809回もの賛成票を行ったところ、Microsoftからメールが届き、今後の協力と内部的なプログラムへの参加をうながされたという。するとContinuum for Phoneのテストを行うため、Lumia 950が送られてきたそうだ。他のインサイダーはコマンドプロンプト上のエスケープシーケンス非サポートや、Windows 10 Insider Preview用デバッグシンボルの公開など、多くの要望を訴えた。
懇親会でとあるインサイダーに話を伺ったところ、「デザインが洗練されて使いやすくなったが、Windows 10では高DPIへの対応が必要になり、開発環境を変更しなければならなかった」と述べ、サポート体制に不満を述べつつも概ね満足しているという。自らWindows 10 Insider Previewを使っているのだから当たり前だが、皆一様に何らかの不満を抱きつつもWindows 10を高く評価している。これこそ「選ばれ、愛されるWindows」なのだろう。
阿久津良和(Cactus)