iOS 9の公開からちょうど半年、「iOS 9.3」がリリースされた。iPhone SEおよび9.7インチiPad Proの発売にあわせたものであることは確かだが、既存のユーザにとっても見るべき点が多いアップデートとなっている。そのうち主要な新機能をいくつかピックアップ、実際の使用感をレポートしてみよう。
iOS 9.3はココが見どころ
iOS 9では3度目のマイナーアップデートとなる今回のリリースは、310MB(iPhone 6s)というサイズからすると小規模に映るが、実のところビッグ・マイナーアップデートと言っていいほど新機能が盛り込まれた。自動色域切り替え機能「Night Shift」を筆頭に、個人情報保護が強化された「メモ」、3D Touchのクイックアクションに対応した「ヘルスケア」など、多くのアプリも進化を遂げている。
システムレベルでの変更点も多い。日付と時刻を1970年5月以前に手動設定すると動作不能に陥る問題が修正されたほか、スペースキーの押下で「メール」のスクロールが可能になるなどハードウェアキーボードのサポートが向上した。機能改善にかぎらず、安定性やパフォーマンスに関わる不具合も多数修正されており、システムメインテナンスという意味でもアップデートは必須だ。
目に見える改善点という意味では、やはり「Night Shift」に注目したい。現在時刻と位置情報をもとに日の出/日の入りの時刻を調べ、日の入り後には自動的にディスプレイを暖色系の表示に切り替え、日の出とともに標準設定に戻すという機能であり、ブルーライトをカットすることで目の緊張を緩和することが目的だ。iPhone 5s以降の端末が対応する機能であり、iPhone 4sやiPhone 5では利用できないので留意したい。
この機能を利用するには、『設定』→「画面表示と明るさ」に新設された「Night Shift」から操作を行う。初期設定ではオフになっているが、「時間指定」スイッチをオンにしたうえでスケジュールの自動化に「日の入から日の出まで」を選択すればいい。これで、太陽が出ていない時間帯は画面が暖色系に切り替わる。コントロールセンター下部中央にはNight Shiftボタンが新設されたが、これは手動でオン/オフするためのものだ。
Night Shiftの効果だが、蛍光灯の光の種類を思い出してほしい。ふだんの画面がすっきりクール系の昼光色だとすると、Night Shift時の色味は「電球色」。色温度を下げる(ケルビンは低下)ことで画面の赤みが増し、白熱電球を思わせる暖かみのある色合いにしているわけだ。iOSデバイスとしての効果測定はさておき、これまでに蓄積された(蛍光灯の)電球色と似た効果を期待していいはず。Appleの紹介文にあった「心地よい眠りに役立つ」という下りはややオーバーだが、落ち着きを感じさせることは確かだ。
ところで、Night Shiftはバッテリー消費量が増える傾向にあるらしい。Night Shiftがオンのとき低電力モードを有効にすると、ただちにNight Shiftはオフになりふだんの青みがかった画面に戻るからだ。コントロールセンターのNight Shiftボタンも、バッテリーが回復するまではディム表示されたままになる。もし、夜間にバッテリーを充電できない状態のとき、少しでもバッテリーのもちをよくしたければ、Night Shiftはオフのまま利用したほうがいいだろう。