EMCジャパンは3月15日、ハイパーコンバージドインフラストラクチャアプライアンス(HCIA)である「VCE VxRail Appliance(VxRail Appliance:ヴィエックスレールアプライアンス)」の提供を開始した。最小構成価格は税別で750万円。

「VCE VxRail Appliance」

VxRail Applianceは、米EMCと米VMwareの共同開発により、EMCのシステムとVMwareのハイパーコンバージドソフトウェアを組み合わせた製品でサイズは2U、4ノード。VMwareの製品には、VMware vSphereやVMware vCenter Serverといったソフトウェアのほか、vSphereとネイティブ統合が可能なSDS(Software-Defined Storage:ソフトウェア定義型ストレージ)のVMware Virtual SANが含まれている。

また、これらすべての製品がVxRail Applianceに統合されているため、EMCジャパンが運用・保守を一元的に提供する。ハイブリッドストレージまたはオールフラッシュの「VxRail Appliance」は、VMware環境の拡張および効率化を可能にするとともに、簡単に拡張可能なシンプルなターンキーHCIAにより、パフォーマンスと容量を提供する。

VCEテクノロジーソリューションズ カントリーマネージャーの西村哲也氏

VCEテクノロジーソリューションズ カントリーマネージャーの西村哲也氏は「新製品を一言で表すならば『QUANTUM LEAP』、すなわち飛躍的な跳躍をするという意味となり、われわれは非常に興奮している。新製品を加えることで大きく3つのシリーズを揃えることになり、従来からのブロック、2015年に発表したラック、そして今回のVxRail Applianceとなる」と述べた。

新製品の説明を行った米EMC VxRailおよびVCEコンバージド インフラストラクチャ製品担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのギル・シュナーソン氏は「VMwareの顧客はVmwareの技術をベースに環境を整備しており、そのような顧客にはスキルや運用のノウハウなどがある。しかし、そのような顧客も他の顧客と同様にソリューションをすべて組み立てるのではなく、そのまま利用できる製品を求める傾向がある。ハイパーコンバージドな環境は経済的なメリットを提供し、小さな規模からスタートし、徐々にスケールアップすることができる」と語った。

そして「新製品は顧客が求めるハードウェア、ソフトウェア、そしてエンタープライズ向けの機能を備えている。ストレージを効率化するイレージャーコーディングやフラッシュベースの製品では重複排除を提供し、データ圧縮、QoS、レプリケーション、仮想マシンを移動させるためのvMotionにも対応している。また、Sowftware-Definedな形でデータを管理しているため、環境の拡充はクラスターにアプライアンスを1台追加すると自動的に設定し、vMotionにより仮想マシンが新しいアプライアンスに移行される。その後、古いデバイスを取り除きたい場合はサービスを停止することなく取り除くことができる」と同氏は新製品のメリットを訴えた。

米EMC VxRailおよびVCEコンバージド インフラストラクチャ製品担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのギル・シュナーソン氏

また、新製品の用途としてシュナーソン氏は「VDIが典型的な例であり、あらゆるVDIのシナリオに対応するだけでなく、最初は小さな規模からスタートし、デスクトップを追加していくことも可能だ。さらに、クラウドとの連携技術も提供しており、ハイパーコンバージドアプライアンスで収まらないファイルを扱う場合はゲートウェイを通じてVirtustreamなどのクラウド上にデータを保存し、同じファイルをアプライアンス側でもキャッシングすることができる。また、拠点が分散している場合でもVMwareの標準技術をエッジ環境でも利用することが可能なほか、15分で本番稼動に移行する仮想マシンのクラスタ環境を自動的にコンフィグレーションすることができる」という。

新製品は小型/中型のデータセンターとしての用途や、企業の各部門、ブランチオフィス環境での使用を想定し、VMwareのハイパーコンバージドソフトウェアをはじめとしたEMC/VCEおよびVMwareのソフトウェアを統合している。

また、さまざまなワークロードに合わせて多様な構成に拡張が可能で、ほかのHCIAの2倍のパフォーマンスのオールフラッシュストレージへの変更もできるほか、既存のVMwareのエコシステム管理ソリューションとのシームレスな統合により、VMware環境での展開と管理を効率化するという。

さらに、仮想化やコンピューティング、ストレージおよびデータ保護が単一のシステムで緊密に統合され、一元的なサポートの提供が可能。初期2台の仮想マシン(VM)だけの小規模な仮想環境の立ち上げから、数千台の仮想マシンにまで規模を拡大させることができ、性能重視のワークロード向けのオプションでは、HCIAの2倍以上のフラッシュ性能を持つ、76TB以上のフラッシュストレージが2016年第2四半期(4月~6月)から提供される。