持つ喜びと撮る喜び、そして写真を見る喜び。すべてにおいて、シリーズの頂点

Xシリーズの大きな魅力のひとつである「フィルムシミュレーション」には、新たに「ACROS」(アクロス)が追加された。ACROSとは、富士フイルムのモノクロネガフィルム。ISO100としては世界最高水準の粒状性と豊かな階調、優れたシャープネスが特徴で、これをシミュレートするモードだ。既存のフィルムシミュレーション「モノクロ」よりグレー階調が豊かなので、被写体の質感を重視する表現に向きそうだ。

従来のモノクロ同様、「ACROS+Yeフィルター」「ACROS+Rフィルター」「ACROS+Gフィルター」のフィルターバリエーションも用意されている。モノクロプリント、特にA4あるいは六つ切り以上のプリントを志向するユーザーには、有効な選択肢となるに違いない。

フィルムシミュレーションに新たに追加された「ACROS」。撮影時とRAW現像時に選択可能

「ACROS+Yeフィルター」「ACROS+Rフィルター」「ACROS+Gフィルター」のフィルターバリエーションも用意

1/1300秒 f4 ISO-200 露出補正:-0.7 WB:オート
レンズ:XF16-55mmF2.8 R LM WR
フィルムシミュレーション:ACROS

新たな効果として「グレイン・エフェクト」も追加された。グレイン(grain)とは種や粒子の意。その意味通り、画像に粒状感を加える効果だ。ドキュメントタッチの写真では、シリアスさやフィルム的臨場感の演出としてわざと高感度で撮影したり、現像ソフトでノイズを加えることがある。

が、高感度撮影は環境によってはできないし、高感度ノイズとフィルムの粒状感とはやはり違う。現像ソフトでの加工はハードルが高いという人もいるだろう。その点で、グレイン・エフェクトは利用価値がありそうだ。

新しい画像効果「グレイン・エフェクト」。適用は簡単だが、効果的に使うのは難しい

グレイン・エフェクト「弱」

グレイン・エフェクト「強」

上の写真は、下の写真から一部を取り出したもの

心和むスタイリングと上質な作り込みを持つボディ。わかりやすさに快適さが加わった気の利く操作性。圧倒的な高画質と新しい写真表現への追求心。そのどれもが、富士フイルムが目指すカメラ像を具現化していると感じさせる。Proの名は伊達ではない。

機材撮影:青木明子

1/200秒 f4.5 ISO-200 WB:オート
レンズ:XF16-55mmF2.8 R LM WR
フィルムシミュレーション:PROVIA STD

1/60秒 f11 ISO-250 WB:オート
レンズ:XF35mm F2 R WR
フィルムシミュレーション:PROVIA STD