ワコムは、カメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+(シーピープラス)2016」に出展し、写真関連セミナーと同社の液晶ペンタブレット「Cintiq」シリーズの展示を実施した。本稿では、Wacom creative Seminar 2016「Cintiq27QHD活用術!画像処理のプロが語るその魅力!」の模様をお伝えする。

トッパングラフィックコミュニケーションズGA本部 GA部所属プリンティング・ディレクターの小島勉氏

小島氏自身の作業に関して、普段使っているMacbook Proがスタンドの真下にちょうど設置できたという

同セミナーは、トッパングラフィックコミュニケーションズGA本部 GA部所属プリンティング・ディレクターの小島勉氏が、ワコムの液晶ペンタブレット「Cintiq 27QHD touch」について、その魅力を語るというもの。小島氏自身の体験を元に、写真を扱うプロの目線で同機種を解説していった。

最初に「Cintiq 27QHD」の特徴として、同氏は「27インチの大画面」、「カラーマネジメント対応」、「クリエイティブな操作性」という3項目を列挙。中でも、2つ目の「カラーマネジメント対応」は、画面のカラーキャリブレーションを行うことで、モニターでの見た目と、印刷時の見た目を近づけることができるため、写真を取り扱うクリエイターにとっては見逃せないポイントとなる。

「Cintiq 27QHD」はカラーマネジメントに対応しており、キャリブレーターで測色した数値を設定することができる

続いて、写真を扱うクリエイターに向け、「カラマネできるモニター」について解説。「Cintiq 27QHD」はAdobeRGBカバー率が97%を超えており、想定されるデジタル一眼レフとインクジェットプリンタの色域と重ね合わせ、再現可能な範囲を色域のグラフで図示。広い範囲がカバー可能であると語った。

最後に、写真家・大野深美氏の作品を題材とし、レタッチの様子を実演。レタッチで頻繁に使われるツールである「スタンプツール」は、キーボードの「Alt(Mac:option)」を押して範囲を指定してから、キーボードから手を離し、適用したい箇所をクリックしていくのが一連の操作だ。

写真家・大野深美氏の作品。合成は行わず、白い花に化粧品の粉をぶつけた瞬間を撮り下ろしたものだという

写真家・大野深美氏

この操作に関して、他の従来機種では画面の枠に埋め込まれていたキーがリモコン型になった「ExpressKey Remote」にショートカットを割り当てることにより、簡略化が行える。キーボードまで手を伸ばすことなく、片手にペン、逆の手に「ExpressKey Remote」を携えて、広い画面で軽々と操作を行っていた。作業としては細かな部類に入るが、マウスで逐一操作することで知らず知らず腱鞘炎になるなど体を痛めることもあるため、こうした環境は望ましいのでは、ともコメントした。

「ExpressKey Remote」は、普段よく使う操作をキーに割り当てて使うことができる

真上から作業の様子を見たところ。キーに手を伸ばさず、「ExpressKey Remote」とペンだけで作業を進めていた

まとめとして、「Cintiq 27QHD」を「ラグジュアリーな制作環境」と評した小島氏。現行機種の中ではハイエンド機であることもさることながら、やはり液晶ペンタブレットの中でも対応機種は限られる「カラーマネジメント対応」、そして専用キャリブレーター(Wacom Color Manager)の展開は、写真をフィールドとするクリエイターにとっては望ましい機材のひとつといえるため、このように形容したのだろう。液晶ペンタブレットは(写真関連のクリエイターにとって)非常に有用であるとコメントし、場を締めくくった。