もう1つの大きな発表が、SwiftにおけるAppleとの協業強化だ。SwiftはAppleが開発し、オープンソース化されたプログラミング言語である。今回、SwiftがIBMのクラウドサービス「Bluemix」で使えるようになったほか、Swiftランタイムのプレビュー版と「Swift Package Catalog」が発表され、Swiftによる開発のサポートを強化した。

IBMのLeBlanc氏は、「IBMは、モバイルにおけるアプリの体験をさらに加速したいと考えた。そのためには、この分野の優れたパートナーとの連携が不可欠である」とし、アップルとの提携関係をさらに強化することを強調した。

これを受けて登壇したAppleのプロダクトマーケティング担当のバイスプレジデント、Brian Croll氏は、「iPhoneがソフトウェアを変えたと言える。Swiftには1100万の開発者がおり、10億台のアップルデバイスの上で、さまざまなモバイルアプリが動作している」と前置きしたうえで、「Swiftは、ネイティブモバイルアプリの開発が行える最新のプログラミング言語。シンプルであり、C++よりもパワフルであり、安全で簡単。そして、楽しく、今や最も愛されているプログラミング言語となっている。実は、Swiftを利用している最大の企業がIBMである。IBMでは、100以上のモバイルファーストアプリを開発している。IBMはSwiftのオープンソース化においても協力してくれている。今回の協業強化においては、IBMがSwiftをサーバ上で活用できるようにしており、Swiftの可能性を最大化できる」と述べた。

米IBMのフェローである、モバイルファースト担当バイスプレジデント兼CTOのJohn Ponzo氏は、「昨年12月に、IBM Swift SandBoxを公開して以降、10万人の技術者がこれを利用し、50万以上のコードが実行されている」などとし、協業の成果を強調して見せた。

Apple プロダクトマーケティング担当バイスプレジデント Brian Croll氏

米IBMのフェローである、モバイルファースト担当バイスプレジデント兼CTO John Ponzo氏

さらに、米IBMは、IBM Cloud Connectorsとして、WebSphereのポートフォリオをクラウドに拡張できる「IBM WebSphere Cloud Connect」を発表。WebSphereで開発された何10億ものアプリケーションと連携したクラウド上のアプリが開発できるようになるとした。

また、BlueMixサービスとの連携を可能にした「BlueMix API Connect」や、BlueMixガレージを東京やシンガポールなどに設置することにも言及。「IBM BlockChain」の発表や、Cloud Videoプラットフォームに関する専門組織を設置し、IBMの研究技術とClearLeap、Ustream、Asperaとの技術を連携した映像関連サービスの提供。さらに、WatsonではTone、Emotion、visionという3つのAPIを提供することを発表した。

そのほか、BlueMixによるOpenWhiskベースのイベントドリブン型ソリューション構築のために、オープンエコシステムへの働きかけを進めることや、Open for Dataと呼ぶ新たなアプリのためのクラウドデータサービスの提供、GitHubに対して、初めてとなるEnterprise as a serviceを提供することなどを発表した。

「IBMクラウドは、既存のIT投資を維持しながら、新たなプラットフォームを活用できる環境を実現する。そのためのパートナーシップも強化している。今回のイベントを通じて、クラウドネイティブ・アプリ、モバイルネイティブ・アプリを活用することで、データソースをどう活用していくのか、それによって、ビジネスをどう変えるのかを考えてほしい。クラウドを活用することで、ビジネスに必要なものを開発でき、イノベーションが生まれる。ぜひ、イノベーターになってほしい」として、ゼネラルセッションは締めくくられた。