説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『パスコードの入力を続けて失敗するとデータが消えるの?』という質問に答えます。
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FBIを管轄する米司法省が、Appleに対しテロ犯が使用していたiPhoneのロック解除に協力するよう要請したところ、Appleがこれを拒否した件が話題になっています。Appleが拒否したことの背景はさておき、なぜ司法省がそのような要請をしなければならなかったのかを考えてみましょう。
iPhoneでは、ロック状態を解除するとき指紋またはパスコードによる認証が必要です。認証を行わない設定にすることも可能ですが、問題のiPhoneは保護されているのでしょう(画面を見るだけで判断できます)。これを解除するには、4桁の数字の組み合わせからなるパスコードを入手することが近道ですが、もはや犯人から聞き出すことはできません。
となると、「0000」から「9999」まで1万通りの数字を試す「総当たり戦」が対策として浮上しますが、iPhoneにはパスコードの認証に連続10回失敗すると有無を言わさず全データを消去する設定が用意されています。この設定はオプションであり、初期設定では無効化されていますが、死亡した犯人がどう設定していたかはロック解除しないかぎりわかりません。有効化されていた場合、安易に総当たり戦を行うと永久にデータが失われてしまうため、米司法省はAppleに協力を要請しているのだと考えられます。
その「10回連続」のオプションが有効にされていない場合は、何度パスコードの認証に失敗してもデータが消去されることはありません。しかし、6回続けて失敗するとiPhoneが1分間使用不可となり、7回連続で5分間、8回連続で15分間、9回連続で60分間も使用不可となります。いずれにしても、ロック解除に相当の手間がかかることは確かです。