Appleが銀聯(China UnionPay)との提携と中国での「Apple Pay」提供を正式に認めて2カ月近くが経過するが、2月18日5時にもサービスが開始されるようだ。またフランスへの提供地域拡大や、カナダでよく利用されているデビットカードシステム「Interac」への間もなくの対応も噂されており、日本へのエリア拡大も含めたサービスの盛り上がりに注目が集まっている。
同件はMacRumorsなどが報じている。それによれば、中国の広発銀行のWeChatアカウントにApple Payについて尋ねると、そのサービス概要と利用開始日について返答してくれるというものだ。iOS 9.2以上のiPhoneまたはiPad、そしてwatchOS 2.1以上のApple Watchが対象となり、銀聯カードを登録してサービスが利用できるという。もともとは春節前の1月中のローンチを目指していたといわれているが、最終的に春節終了後の2月中旬のタイミングまでずれ込んだとみられる。銀聯カードの非接触決済が中心となるため、利用範囲は現状で主に中国国内となるが、NFCによる店舗決済とオンラインでの決済の両方に対応するので、前述のようにNFCアンテナを装備しないiPadでもサービスが利用可能になるようだ。
フランスへのApple Payの提供地域拡大の話題は同国のiGenが報じている。それによれば2016年前半にも何らかのアナウンスが行われるとしており、おそらくは6月上旬に開催されると思われるAppleの開発者会議「WWDC」で何らかの言及があるのではとのことだ。ライバルにあたるSamsung Payは英国とスペインでのローンチが間近といわれており、次なるターゲットとしてフランスも視野に入っているとされている。現在Apple Payは米国、英国、オーストラリア、カナダの4カ国での提供が行われており、間もなく中国での提供がスタートする。フランスやスペインなど、他の欧州諸国も順次提供地域に加わっていく可能性が高い。
またカナダにおいては、同国でよく利用されている「Interac」への対応が裏で進んでいると噂されている。Interacはいわゆるデビット方式のカード決済で、同国内の複数の大手銀行らが集まって運営しており、クレジットカードなどと並んでカナダの決済トランザクションの多くのボリュームを占めている。NFCによる非接触決済対応も3年ほど前からスタートしており、今回のApple Pay対応はこの国別事情に合わせたものとなるだろう。iPhone in Canadaによれば、現在配信されているiOS 9.2.1のファイル中に決済ネットワークの一覧があり、そこに「Interac」の文字が発見できるとのことで、遠からず対応する可能性が高いはずだ。
さて、問題の日本でのApple Payローンチだが、筆者が現在把握している範囲では複数方面から話が聞こえてきており、導入に向けた動きが水面下で進んでいることは間違いないようだ。問題となるのは「ローンチ時の規模」「具体的な時期」の2点に絞られており、このバランスを取りつつAppleが導入時期を判断することになると考えられる。ただ、いろいろ聞き取りを行っている範囲では小売大手での動きがやや鈍く、仮にフランスなどと同じタイミングでのローンチは小規模なものとなりやすく、難しいのではないかと考えている。現在のターゲットは最速でも2016年後半~2017年にかけてとみており、Appleが出すゴーサインを見逃さないようウォッチしてみてほしい。