メルシャン 営業本部 ワイン営業部 企画グループ シニアワインメーカーの藤野勝久氏は、「日本のワインは国際的に戦える存在になったのか?」という質問に対し、「戦える存在になりつつある」という答えを返した。
そもそも、日本のワインが国際的に頭角を現し始めたのは1980年代だという。1970年代に拓かれた長野県・桔梗ヶ原の農園で栽培され始めた欧州系ブドウ「メルロー」を原料にした「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー 1985年」が、1989年のリュブリアーナ国際ワインコンクールで大金賞を受賞。以降、国内外のコンクールで最多の金賞受賞を誇る存在となっている。
和食ブームが日本産ワインに影響
また、藤野氏は、国産ワインが戦っていくステージは2種類あるという。ひとつは「桔梗ヶ原メルロー」にみられるような、欧州系ブドウを原料にした“王道”ともいえるステージ。もう一方が、甲州やマスカット・ベーリーAといった、日本独自のブドウを使った純国産ワインのステージだ。特に後者は、ユネスコ無形文化遺産に指定された和食にピッタリの存在で、今後和食ブームが世界に広がりをみせれば、自ずとその存在感を増していくと予測できる。
だが、藤野氏は、日本のワインが国際的に存在感を示すには、王道ともいえるステージで評価されるワインが重要とする。「たとえばワイン造りを体操競技に見立てると、欧州系ブドウを使ったワイン造りは『規定演技』、日本独自のブドウを使ったワイン造りは『自由演技』といえるでしょう。自由演技を極めるためには、規定演技をキッチリこなせる技術がなくてはなりません」と、ワインの門外漢である筆者にもシックリと理解できる表現で語ってくれた。