2015年9月、女優でタレントの川島なお美さんが、54歳という若さで幽明界を異にした。その彼女が心血を注いだのがワイン。「ワインエキスパート」資格を取得したり、フランス三大ワイン産地の騎士号を叙任したりと、1990年代後半に巻き起こった第6次ワインブームに少なからず影響を与えた。そして現在、再びワインの人気に火がつき、第7次ワインブームが日本の酒市場を席巻している。
一過性のブームで終わらない!?
今回のブームは前回のワインブームと様相が異なる。前回、つまり第6次ワインブームは、赤ワインに多く含まれる「ポリフェノール」が健康維持に効能があると、急速に世間に知れわたったことがきっかけだった。そのため、ワイン消費量は爆発的に伸びたが、赤ワインのみ、しかも限定的な層への広がりというイメージがぬぐえない。だが、2012年から現在まで続く第7次ワインブームは、ポリフェノールのような強烈な“フック”はないものの、着実に消費者の足元に浸透してきている感がある。一過性のブームではなく、広い客層に定着する兆しがみえているのだ。
現在のブームの牽引役となっているのが1,000円以下の安価な輸入ワインだろう。チリやオーストラリアといったワイン原産国とEPA(経済連携協定)を締結したことにより、こうした安価なワインが多く輸入されるようになった。ここ数年、コンビニのお酒コーナーに陳列されている輸入ワインが増えていることがそれを物語っている。「ボジョレー・ヌーボー解禁」といったニュースに毎年触れるようになったことも、ワイン人気定着の一因かもしれない。
一方、安価な輸入ワインだけが、今回のブームを牽引しているわけではない。日本産のブドウを原料にした、純国産ワインが力をつけてきていることも今回のブームに大きく寄与している。
現在、東京・上野の国立科学博物館で「ワイン展」(2015年10月31日~2016年2月21日)が開催されているが、その展示内容にも国産ワインにスポットを当てたものが目立つ。
ワイン展の主催者のひとつ、読売新聞 事業局事業開発部の奥田香菜氏は「ワインをテーマにした大規模展覧会が行われるのは国内初」と、この展示会の希少性について前置きしたうえで「ワイナリーの楽しさやワインの歴史の深さ、ワインを科学的に分析した展示など、幅広く楽しめる内容になっています。日本のワインの歴史も学べます」と、展示の内容を解説してくれた。