日本オラクルは12月8日・9日、東京都内でイベント「Oracle Cloud Days Tokyo」を開催した。初日の基調講演には同社取締役代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏が登壇、製品戦略を通じてオラクルのクラウドにかける意気込みを語った。

チップからアプリ、クラウドまで作っているからできることとは?

日本オラクル 取締役代表執行役社長兼CEO 杉原博茂氏

杉原氏はまず、11月に米Oracleが米サンフランシスコで開催した年次イベント「Oracle Open World 2015」のキーメッセージをまとめた。Open Worldには世界141カ国から6万人が参加、このうち約500人が日本からの顧客やパートナーだった。開催地のベイエリアの経済効果は150億円だったという。

会期中、クリプトグラフィック・アクセラレーションとしてチップレイヤでの暗号化を実現する新世代のSPARCプロセッサ「SPARC M7」を発表した。「暗号化が常時オンになる」と杉原氏、このような安全化のレベルは「これからの日本社会にとても重要」と続けた。日本へのサイバー攻撃は米国に次いで2番目に多いとみる向きもあるという。

Open Worldでは暗号化技術を組み込んだ「SPARC M7」が発表された。セキュリティは同社の重要な差別化のポイントになる

共同創業者でCTOを務めるLarry Ellison氏自らが、「大きなパッションで、クラウドはこういうものだということを示した」と杉原氏、「基本はずっとやってきたIT基盤で求められたコスト、信頼性、性能、業界標準の技術、互換性、セキュリティ。原点に回帰しましょう」として、新興のクラウド専門ベンダーに対する技術的優位性をアピールした。

オラクルは「モダンサイバーソサエティ」として、IoT、ソーシャル、ビックデータなどの技術によりさまざまなものがつながる社会を描いている。特徴は、オンプレミスでもパブリッククラウド(オフプレミス)でもどちらでも使えるという点だ。近い将来もオンプレミスは使われ続けるという考え方に基づき、「オンプレミスとオフプレミスを行ったり来たりできることは重要」とする。杉原氏は、モダンサイバーソサエティを実現できる理由について、「オラクルはチップからアプリ、クラウドまで全部作っているものづくりの会社だから可能なこと」と胸を張った。

オラクルが描く「モダンサイバーソサエティ」

クラウドサービスのラインアップとしては、SaaS、PaaS、IaaSをそろえる。この日の取り上げられたSaaSでは、クラウドでも完全なスイートの提供を目指しており、すでに600近くのアプリケーションがあるという。「10年かけてクラウドネイティブにすべくコードを書き換えた」とのことだ。ソーシャル活用、Eコマースの拡大、展開地域の拡大などを瞬時に低コストですぐに実現できるというのがウリで、実際に「ERP Cloud」は1300社、人事系の「HCM Cloud」は5000社が導入しているという。「CRM Cloud」は、この分野最大手のSalesforce.comに次いで2位と報告する。

これらを「ハードウェアとソフトウェアを融合させ、使う側のために何ができるかと突き詰めていく」とし、”POCO(Power of Cloud by Oracle)”というキャッチの下でわかりやすく伝えていきたいとした。