「現場」もいいが「遊び心」も忘れずに

IoT技術の総合技術展「IoT Technology 2015」では、ホビーユースに近い展示も行われていたが、周辺機器が増えればより具体的な姿が見えてくるに違いない

登場から日が浅いゆえに、ディストリビューションはUbuntuのみ、しかもフレーバーが軽量とはいえGUI前提のLubuntuという状況だが、DragonBoardにおけるLinuxの今後は期待していいのではないか。

その理由のひとつが、開発支援体制だ。INFORCE 6410やSYS6440など、これまでもSnapdragonベースのシングルボードコンピュータは存在したが、コミュニティベースで運営されていた開発ポータル(mydragonboard.org)が、2015年6月から「Qualcomm Developer Network」に統合されている。今後はドキュメントや開発リソースの充実が期待できるし、開発コミュニティが活気づけばディストリビューション/フレーバーの種類も増えることだろう。

Androidに目を向けてもいい。組み込み機器にAndroidが活用される事例は増えつつあり、Qualcomm Developer NetworkでもSnapdragonに最適化されたLLVMコンパイラやIDEが提供されるなど、開発ツールは豊富だ。スマートフォンアプリのノウハウを生かせるという理由もある。

ホビー分野もまた然り。オーディオ用途にしても、タッチパネル付きのケースを用意してAndroidアプリで再生指示を出す(Androidもサウンド再生にALSAを使うため質的な部分は保てる)、といったRaspberry Piとは違う方向に活路を見出すこともできるだろう。

個人的には、マウス/キーボードを使う超小型PCとしてではなく、動画も音楽も再生できるメディアプレーヤーとしての用途に期待している。DragonBoardには、計3基のUSBポートに加えて40ピン/低速と60ピン/高速の汎用ポートが用意されているため、ハードウェア追加による機能拡張という道もある。ホビーユーザーが増えれば、IoTプラットフォームとしての存在感も増すはずで、まずはこの分野のテコ入れを……との希望のもとレビューを締めくくりたい。