人間は、誰もが100%客観的になれることはない。われわれは程度の差こそあれ、なんらかの先入観に基づき行動しているが、能力を最大に発揮するにあたって先入観や偏見が邪魔をしていることがある。

The Next Webが「意思決定を阻害する5つの認知バイアス(原題:5 cognitive biases that are killing your decisions)」という記事で、間違った判断につながりかねない認知バイアスを紹介している。

ステレオタイプはNG

困難に差し掛かった時、成長したい時、われわれは現状を認識してとるべきステップを考える。ところが、認知バイアスは現実をゆがめてしまうため、本当にとるべき行動を判断できなくなる。

つまり、変化が必要な時にそれを妨げてしまうという。では認知バイアスとはどのようなものなのか、早速見てみよう。

確証バイアス

理想はバイアスがかかっていない、理性的で論理的な思考だが、現実としてわれわれは自分が信じたいことのみを信じている。つまり、新しい情報を探しているつもりでも自分の中にある既存の信念や先入観を確証してくれるもののみを見ようとするのが確証バイアスだ。

確証バイアスは病気を診断する医師、政治家、ビジネスの世界でもよくあることで、自分が何をやっているのかを問う代わりに、自分が慣れている昨日の繰り返し、ルーティンに陥ってしまうという。

アンカリング

意思決定にあたって、第一印象や特定のことに対して、あまりに焦点を合わせすぎてしまうことを「アンカリング」という。"アンカー"(碇、よりどころ)となるものが決まると、他の指標や情報は入ってこなくなるので冷静な判断ができなくなる。

たとえば、性別、年代、学歴や職業から「こういう人だ」と決め込むステレオタイプを持つと、その人の持つ資質や才能に気がつかない。組織内の配属でも、特定の部署に入りたいという思い込みが強すぎると、与えられた他の部署でのポジションに不満を抱く。

そして、そのポジションのメリットや潜在性に気づかず、キャリアのチャンスをみすみす見過ごしてしまうことになる。

このほかにも、認知バイアスとして、多数派に従う多数派同調バイアス、ほんの一部の成功例や成功者のみを偏重する生存バイアス、自分の所有物に高い価値を感じて手放したくないという感情から"授かり効果"ともいわれる損失回避が挙げられている。

まずは自分がこのような認知バイアスに陥っていないのかをバイアスなしに判断したい。根拠のない楽観論はこれらの認知バイアスが背後で動いていることもあるので、要注意だ。そのためには、以下を自問するとよいという。

  • そう信じるのはなぜか?

  • 自分の意見に反論するとしたらどうなる? 反論は有効か?

  • 自分の信念はだれの影響を受けている?

  • 自分が信じているから特定のグループに所属しているのか?

  • 意思決定を下すことで失うものはなにか? 得るものはなにか?