人間が感じる「おいしさ」を数値化

人が感じる「味」のメカニズムについて語る「味博士」こと鈴木隆一氏。AISSY 代表取締役社長を務める

微凍結パーシャルの実力を証明するため、AISSY 代表取締役社長でもあり、慶応義塾大学 理工学部共同研究員でもある鈴木隆一氏が登壇した。鈴木氏は、「味博士」としてテレビなどでも活躍している。

まず、鈴木氏は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」「無味」の水が入ったカップを配って簡単な味覚テストを行ったあと、人間の味覚の基本ともいえる「5基本味」(甘味、塩味、旨味、酸味、苦味で構成される)について解説した。

人間は各味の強さを感じ取る以外にも、「コーヒー(苦味)」に「砂糖(甘味)」を加えると苦味が抑制されたように感じたり、「ダシ(旨味)」に「塩(塩味)」を加えると旨味が増したように感じたり、「味同士の相互作用」という複雑な味覚処理をする。この味の相互作用もふまえて解析できる味覚センサー「レオ」を用いて、微凍結パーシャルの実力を検証したという。

【左】6つのカップが配られ、5基本味と無味を当てる「味覚テスト」が行われた。会場のほとんどが全問正解。鈴木氏によれば「日本人は特に味覚が発達している」とのこと。【右】味の相互作用も考慮して、いわば「人間と同じように味を判断できる」味覚センサーのレオを用いて微解凍パーシャルの実力を確かめた

いざ、試食!

レオでの測定は、豚ロース肉、牛モモ肉、マグロの3種類の食材で実施。実験方法は、豚ロース肉と牛モモ肉は7日間、マグロは3日間、微凍結パーシャルと冷凍室、チルド室でそれぞれ保存する。

その後、レオで5基本味とコク(味の総和のこと。5基本味がバランス良く含まれているとコクを感じる)を測った結果、甘味や塩味などはほぼ変化がなかったものの、旨味とコクについては全食材で微凍結パーシャルが冷凍保存に大きく差をつけた(※)。
※:味覚データ分析平均において、0.2ポイント以上の差で、95%の人がちがいを認識できる。

実験結果説明のあと、微凍結パーシャルと冷凍庫で7日間ずつ保存した、牛モモ肉の試食会も行われた。会場では「微凍結パーシャルのほうがジューシー」「冷凍の肉は食感がキシキシとする」「冷凍の肉は後味が生ぐさく感じる」などのコメントが出ていた。

レオを使用して、微冷凍パーシャルとチルド、冷凍で保存した肉と魚の「旨味」と「コク」を比較。0.2以上の差があると、95%の人がちがいに気が付くとのこと

微冷凍パーシャルと冷凍庫でそれぞれ7日間保存した肉を焼いて比較。焼き肉用の厚切り肉と薄切り肉の2種類を味付け一切ナシで試食。どちらも、左の赤いマークが微冷凍パーシャルで保存した肉。はじめはどちらが微凍結パーシャルか明かされなかったが、食感や肉汁の量、後味のちがいなどで、どっちがどっちなのかすぐ判定できた