「ヘルシオ」第5のカテゴリー

シャープ 執行役員 健康・環境システム事業本部長の沖津雅浩氏

新製品発表と同日に、シャープは製品発表会を開催。シャープ 執行役員 健康・環境システム事業本部長の沖津雅浩氏は、前回の東京オリンピックが開催された1964年から次回の2020年までの間に、日本人の平均寿命が男女ともに13歳以上伸びたことを挙げ、「日本は、健康寿命(※)でも男女ともに世界1位だが、平均寿命との差を考えると、10年以上"不健康"な状態で生活をしていることになる。健康寿命を延ばすためにはQOL(生活の質)の向上が不可欠であり、特に食は重要な位置を占める」と指摘した。※ 健康寿命:健康上の問題がなく、自立した生活ができる期間のこと。

ホットクックは、「健康な食生活のサポート」を掲げる、シャープの「ヘルシオ」シリーズ5番目のカテゴリーにあたる製品だ。沖津氏によると、日本人に不足気味な野菜の摂取量を増やすことも、ホットクック開発の意図に含まれる。

シャープ 健康・環境システム事業本部 調理システム事業部 副事業部長の田村友樹氏

シャープ 健康・環境システム事業本部 調理システム事業部 副事業部長の田村友樹氏によると、電気無水鍋の場合、水を加えずに調理するため、ビタミンCなど水に溶け出しやすい栄養素の流出を抑えられるという。たとえば、大根1本あたりに含まれるビタミンCは通常の鍋に比べて約1.5倍、ホウレンソウに含まれる葉酸は約1.8倍多く残存することが、日本食品分析センターの調査で明らかになっている。

また、野菜を効率よく摂取できるのも無水調理の特徴だ。発表会で試食として提供された無水カレーの場合、1人分の材料としてトマト1個と玉ねぎ1/2個、セロリ1/4本を使用。1皿で摂取できる野菜の分量は約220gと通常のレシピで作ったカレーよりも約100g多くなる。

【左】調理開始前の無水カレーの材料。食材から出る水分を利用するので、水は一滴も使用しない。【右】調理時間は約1時間5分。水を入れずに調理しても、食材の水分のおかげでカレーが完成

無水カレーのほか、たこと里芋の煮物、根菜サラダも。食材そのものの水分を使用して調理するので、うまみを逃さず、風味も濃厚だ

Made in Japanにこだわり

製品のセット内容。一般に無水調理鍋の材質はステンレスか鋳物が主流だが、さびにくくて軽く、扱いやすい点から内鍋にはステンレスが採用されたとのことだ

クックホットの内鍋にはステンレス素材を採用しており、鍋外側には熱伝導効率を上げるためにアルミ加工が施されている。内鍋は金属加工で有名な新潟県で生産されているほか、そのほかもすべて日本で生産。日本製にこだわっているとのことだ。

内鍋には専用のフタが付属し、冷蔵庫でそのまま保存できる。また、まぜ技ユニットや内ブタなど本体内側のパーツは取り外して水洗いでき、簡単に手入れできる。

なお、製品名の「ホットクック」は、英語の"HOT"と"COOK"を掛け合わせた用語に思われそうだが、「関西弁の"ほっとく(放っておく)"という言葉をもじっている」と田村氏は説明。もちろん、型番の「HT99」も「ホットクック」に由来するそうだ。

今後、ホットクックをインバウンド需要やASEAN諸国向けにも展開していく方針だ。国内においては、シャープの調理事業全体に占めるヘルシオシリーズの比率を、現在の48%から5年後に70%まで拡大することを目指すとしている。

ヘルシオシリーズのラインナップ