続いてセイコーエプソン 常務取締役の久保田氏がコンシューマーインクジェットプリンタの新製品と機能を紹介。全体の強化ポイントとしては、写真だけでなくテキスト画質も向上させ、失敗しない・迷わないカンタン操作、そしてスマートデバイス向けアプリに関してもさらに高機能・高画質化を行ったとした。

セイコーエプソン 常務取締役 プリンター事業部長 久保田孝一氏

本日発表された新製品。カラリオが4機種、プロセレクションシリーズが1機種となる

EP-10VA

エプソンが推しているのは、EP-10VAだ。従来のカラリオ6色プリンタではCMYKの基本4色に、ライトシアンとライトマゼンタを加えているのに対し、EP-10VAではClear Chrome K2インクを採用し、CMYK+グレーとレッドというインク構成。グレーを採用したことでニュートラルグレーの再現性を向上させ、レッドインクを使うことで色再現領域を10%アップした。

用紙に対してインク滴の着弾位置を向上させるために、紙送りローラーの中支え数を増やし、紙送りのたわみを低減。紙送りの精度が高まってインク滴の均一性が向上し、より滑らかな印刷が可能となった。

さらに、プリンタだけでもこだわりのモノクロ作品を作れる仕組みを導入。色調を変えたサムネイルを1枚の用紙に出力し、その中から好きなサムネイルを選んで本番プリントを行えるようにしている。カラーに関しても「高彩モード」を用意し、ヌケのよい発色とキツすぎない肌色を両立。これもスタンドアロンで利用可能だ。

EP-10VAは染料タイプとなるが、Epson ClearChrome K2インクを採用し、写真の表現力をアップしつつ、幅広い層にアピール

Epson ClearChrome K2は、CMYKにグレーとレッドインクを加えている。グレーインクによるニュートラルなグレーと、レッドインクによる幅広い色再現が特徴

グレーの諧調表現に対しては、色差の少ない表現が全域で可能となっているのがわかる

メカも紙送りローラーを改良することで用紙送りの正確さを向上

プリンタだけで、明るさ・コントラスト・色調を変えたサンプルを印字。これによって作品イメージに合致した補正をプリンタだけで行える

高彩モードが用意され、肌色がキツクならない一方で、色鮮やかな出力が可能。スタンドアロンでも利用できる

PF-81

次に紹介した新モデルは、6年ぶりの一新となる小型プリンタのPF-81だ。従来機種のE-850ユーザーから寄せられた、「大きな文字表示が欲しい」「タッチ操作したい」「もっと簡単に使いたい」「長く使いたい」という声に応え、9インチの大型タッチパネルを採用。年賀状(ハガキ)を原寸表示して、タッチ操作でハガキの文面を作れる。

年賀状に関しては、本体内に1,000、SDカード内に500のデザインを収録し、SDカードのコンテンツは毎年新作を(数千円で)提供するという。フォントも15種類を内蔵した。また、使わないときは付属のキーボードを含めて収納できるバッグも同梱している。

PF-81の前モデルE-850ユーザーからの声と購買層。シニアと30以上の女性が多く使用していることがわかる

新製品PF-81の概要。大型タッチパネルと豊富なコンテンツ。収納も便利でヘルプとガイドでわかりやすいのが特徴だ

9インチモニタを採用することでハガキが原寸大で確認編集でき、文字も読みやすい。タッチパネルで直観的な操作が可能

ヘルプボタンで作業の手順もわかり、リング綴じのガイドは開いたまま置きやすい

コンテンツやフォントも豊富。毎年販売される年賀状デザインは500種類と、無料コンテンツよりも豊富とのこと

EP-978A3 / EP-808A

「ふだんA4、ときどきA3」というA3対応のEP-978A3は、前モデル「EP-976A3」で好評だった機能を踏襲する一方、新オートファイン!EXと4.3型タッチ液晶を採用して操作系の向上に努めている。EP-808Aシリーズは人気の3色カラバリを用意したほか、新オートファイン!EXと、従来は上位機種のみ搭載していた作品印刷機能を備えた。

EP-978A3は画質向上と操作画面の拡大によるかんたん操作が魅力だ。もちろんA3対応

EP-808は三色カラバリと画質向上、上位機種にあった作品印刷機能対応。そして液晶サイズアップでかんたん操作を実現

ちなみに新オートファイン!EXだが、シャドウ部分の明度補正を行って黒潰れを低減させたのが改善点だ(従来は明るい部分のみクッキリ補正していたため、暗い部分がつぶれたままになっていた)。

新オートファイン!EXは、主に風景写真における暗部の再現力を強化し、黒潰れしにくくなった。PCからだけでなく、スタンドアロンやスマホアプリからも利用できる

テキストを見やすくするための背景除去モード、細線強調モード、文字くっきりモードを追加。背景除去モード以外は、PCからの印刷時のみ有効

使い勝手の面では、まず4.3型という大きなタッチ液晶を搭載。写真を確認するとき画面いっぱいに表示させることで、かなり見やすくなった。デジタルカメラ画像のExif情報を表示したり、サムネイルの15画面・6画面表示を切り替えたりできる。

4.3型液晶の搭載モデルは、画像を画面いっぱいに表示できるほか、デジタルカメラ画像のExif情報を確認、サムネイル表示数を変更といった設定が可能となった

作品印刷機能がEP-808に加わり、フチの色としてパステルカラーも選択可能

スマホとの連携に関しては、EPSON iPrintアプリ、Creative Printアプリ、3Dフレームプリントアプリを一新。アイコンデザインの統一とオートフォトファイン!EXへの対応が行われたほか、「スマホでカラリオ年賀2016」アプリが10月29日から提供される予定だ。

スマホアプリも一新

Epson iPrintはタイルタイプのUIデザインで、スクロールなしでメニュー項目の選択が可能に。割り付け印刷、新オートファイン!EX対応、PF-81への画像転送といった機能が強化された

Epson 3Dフレーム Printは、3D化する領域のユーザー指定が可能となった

「スマホでカラリオ年賀2016」は宛名印刷と、CSVファイルのインポートに対応。ただし、PF-81と異なり120種類程度のコンテンツになるという

プリンタ本体のスマホ対応も強化され、ネットワーク状態を画面表示し、トラブル対応が容易になった。NFC対応スマホならばタッチで簡単に接続できる

SC-PX7V II

最後はプロセレクションシリーズのSC-PX7V IIについて触れ、新オートフォトファイン!EXへの対応、Epson Print Layoutによるポジフィルム調のプレビューに対応、スマートデバイスとの親和性向上といった強化点を挙げた。本体カラーが黒となったことで、高級感とシリーズ統一感も増している。

プロセレクションシリーズのSC-PX7V IIも、今回の新製品として紹介

写真画質の向上をはじめ、Epson 3Dフレームプリント以外のスマホアプリに対応