デジタル一眼カメラを買ったばかりのときは、難しいカメラ用語にとまどいがちなもの。「今こそ知りたいデジタル一眼の基本」では、タイトル通りにカメラに関わる基本的なことをやさしく紹介していきます。今回のテーマは、「シャッタースピード」です。

シャッタースピードとは、シャッター膜を開閉してイメージセンサーに光を届ける時間のこと。1/500秒とか1/1000秒などは数字が示す通り「高速シャッター」、1/5秒とか1/25秒などは「低速シャッター」になります。絞りと同じように、シャッターも光量を調節する以外に、被写体をしっかり捉えたり、写真表現を変えるという重要な役割があります。とくに動きのある被写体を撮影する際は、シャッタースピードの違いによって劇的に写り方が変わります。

シャッタースピードを2秒にすることで滝の流れを糸のように表現してみました
キヤノン EOS 7D、EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM

1/500秒という高速シャッターでカモメが食らいつく瞬間をとらえたものです
キヤノン EOS 7D、タムロン AF18-270mm F/3.5-6.3 DiII VC (Model B003)

こちらは13秒という超スローシャッターで、車の行き交う様子を光の線で表してみました
キヤノン EOS 7D、シグマ 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM

動きまわる子供やペットなど、被写体の動きが激しい場合は、高速シャッターを使うことで被写体がブレずにバッチリと写せます。高速シャッターの注意点としては、日中の屋外などは光量が十分なので大丈夫ですが、暗いシーンではISO感度を上げないと露出アンダーになりやすい点を覚えておきましょう。

一方、川や滝といった水流や引いては寄せる波打ち際、夜間の車のライトやイルミネーションなどは低速シャッターを使うことで、動きをダイナミックに表現できます。ただし、低速シャッターは手ブレする可能性も高いので三脚でしっかりとカメラを固定することが必要です。

カメラの撮影モードを「S」や「Tv」といった「シャッター速度優先AE」に設定して、色々なシャッタースピードを試してみるとよいでしょう。新しい発見に出会えるはずです。

シャッタースピードを速くすれば、イメージセンサーが受け取る光の量が減り、遅くすれば、光の量が増えます。したがって、同じ絞り値であれば、高速シャッターでは暗く、低速シャッターでは明るく写真が写ります。

コーヒー豆の焙煎機をシャッタースピードを変えながら撮影したものです。左上から1秒、1/5秒、1/10秒、左下から1/50秒、1/250秒、1/500秒。シャッタースピードを遅くするとコーヒー豆が高速に回転している様子が写り、シャッタースピードを速くするとコーヒー豆の輪郭がわかるように写ります

もう一つ知っておきたいのは、シャッタースピードと手ブレの関係です。

一般的に「レンズの焦点距離よりも、シャッタースピードが遅いと手ブレする可能性が高くなる」と言われています。たとえば、(35mm判換算での)焦点距離が100mmのレンズでは、1/100秒よりも遅いシャッタースピードだと手ブレする危険性が高くなるということです。逆に、1/100秒以上の速度でシャッターが切れれば、手ブレの危険性が格段に減るという目安になります。

最近のレンズやカメラは、ほぼすべての製品に手ブレ補正機構が備わっているので、必ずしもこの数値にしなくても大丈夫ですが、知っておくことで手ブレのリスクを回避できます。

APS-Cセンサー搭載カメラと焦点距離60mmのマクロレンズ(35mm判換算で96mm相当)でゴーヤの花を撮影したものです。1/20秒(左)だとブレていますが、1/100秒(右)にすることでご覧の通り
キヤノン EOS 7D、タムロン SP AF60mm F/2 Di II LD [IF] MACRO 1:1

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