既報の通り、ウエスタンデジタルジャパンは15日、同社製HDDを搭載したNAS「WD Cloud」シリーズを発表した。これに合わせて都内で記者説明会を開催した。

4月に予告のあったNAS製品が登場

WD Cloudはインターネット経由のアクセスに対応し、パーソナルクラウド環境を構築できる。PCやスマートフォン、タブレットといったデバイスから、場所を問わずデータにアクセスできる。容量ラインナップは2TB/3TB/4TB/6TBの4モデルで、7月下旬の発売を予定する。

もともと、WDでは「My Cloud」という名称で本製品をすでに米国市場などで展開している。2015年4月に行われた説明会でも参考展示していたが、商標の問題と日本の家庭におけるネットワーク事情に対応するため発売が遅れていた。

説明会では冒頭、ウエスタンデジタルジャパン 社長の金森 苧氏があいさつを行った後、米WDのSven Rathjen氏が製品の概要を説明した。

ウエスタンデジタルジャパン 代表取締役社長 兼 米WD コーポレートバイスプレジデントの金森 苧氏

米WD WDネットワークコンテンツソリューションズ 担当バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャーのSven Rathjen氏。4月よりシリコンバレー勤務になったという

Sven氏はまず製品開発の背景である、デジタルデバイスから生み出されるコンテンツとその保存・共有について説明した。Sven氏によると、2011年には一家庭当たり0.46TBのデジタルデータが保存されているのに対し、2016年にはこれが3.3TBと6倍以上に拡大すると推測されている。また、このうちの36%はクラウドストレージに格納される見込みだという。

個人が生み出す膨大なコンテンツの保管のために、より多くのストレージが必要となる。そのうち1/3以上(1TBを超える)容量はクラウド上に保管されるという

日本の数字については、ホワイトボードで説明。日本市場では年間2600万台のスマートフォン、800万台のタブレット、600万台のデジタルカメラが販売されている。すでに利用されているデバイスと合わせて非常に大きな数字だ。これらによって生み出されるコンテンツもまた膨大となるが、そのコンテンツをどこに保管するのかが問題になる

つまり一家庭当たり1TB以上のクラウドストレージを使用する時代がやってくるということだ。一方、大容量のクラウドストレージを利用するには、何らかの形で料金が発生することがほとんどだ。

そこでWDの提案するのが、自宅にパーソナルクラウドを構築できる「WD Cloud」だ。「WD Cloud」に、PCやスマートフォン、タブレットのデータを保存し、どこからでもアクセス可能だという。また、WDのサーバを介することにより、セキュアな環境でデータの同期などが行える。

Sven氏は、カルフォルニアの自宅に置いてある自分のストレージから、写真や動画といったコンテンツをLTE接続のスマートフォンで接続して閲覧するというデモを披露した。

WDの回答は自宅に置いて安全性を確保し月額利用料をゼロにしつつ、どこからでもアクセス可能な「自宅クラウド」としてのWD Cloudだ

Sven氏はカルフォルニアの自宅に設置したWD Cloudにアクセスし、保存してある画像を紹介した。これは2006年のワールドカップのブラジル代表FWロナウド氏の写真。Sven氏はドイツ出身で、熱心なフットボールファンとのことだ

ウエスタンデジタルジャパン コンテンツソリューションビジネス シニアマネージャーの牛島 学氏

続いてウエスタンデジタルジャパンの牛島氏がWD Cloudの詳細を説明した。WD Cloudの製品パッケージは極めてシンプルで、WD Cloud本体とACアダプタ、LANケーブルとセットアップのURLを紹介する紙片しか入っていないという。

セットアップはPCまたはスマートフォンで、アカウントを設定する程度で簡単に使い始めることができる。他人とのデータ共有は、メールでURLを通知することで可能で、これらの操作はすべてスマートフォン上でも行うことが可能だ。

セットアップ開始直後の画面。同じネットワーク内にある新しいWD Cloudを自動的に登録するようになっている

画像の共有の例。アクセスキー付のURLが添付されるおり、オリジナルサイズ・画質の画像や動画を共有することができるようになっている

スマートフォン用アプリはApple/Googleのストアから入手可能で、WD Cloudに保存した動画をデバイスに対してストリーミング送信できるほか、デバイス内のストレージにキャッシュを保存する機能が用意されている。また、DLNAサーバーとしても動作する。

なお、米国市場においては今回のシングルHDD製品だけではなく、デュアルHDD製品(My Cloud Mirror/My Cloud EX2)も展開している。日本におけるシリーズ展開に関しては今回の反応を見て判断するという。

WD Cloudを持つ金森社長とSvan氏

発表会にしては珍しくCow Girlsも登場

展示コーナーより。本体の管理もwebブラウザを通じて行える(左)。ログイン直後の画面(右)を見ると日本向けに大きく改良されているということで、ファームウェアバージョンを見る限りメジャーアップデートされたようだ

製品パッケージと本体。価格はオープンプライスだが大雑把にいってTBあたり1万円+5000円程度だ

店頭における陳列はこのような感じになるようだ

製品に同梱されたマニュアルはシンプルだ

流通に関してはアイ・オー・データ機器が主体となって行われる。アイ・オー・データ機器製NAS製品に関しても当面はこのままの提供される