3種類のパーツを「面」で管理

前段では管理すべきシステムに触れたが、高橋氏は、管理すべき部品に着目してほしいとも述べた。ものづくりにおいて管理すべき部品は3種類に分類することができるが、それぞれにおいて管理上の課題がつきまとうようだ。

1つは、JISなどで規格化された「一般購入部品」。汎用性の高さと重要度合からデータ整備が進みやすい部品だが、特殊な形状のボルトなどデータ未登録の部品が選定されると、設計者が無秩序にモデルを作成しはじめてしまうというリスクをはらんでいる。2つ目は、自社で新たに図面を起こして作成する「製作・加工部品」。こちらはPDMなどで管理されることが多いが、検索時にテキスト情報しか利用できないのが問題だ。部品名称や設計者名などからの検索には限界があり、検索自体が「○○さんが××を作ったらしい」といった人的データベースに依存してしまっては本末転倒だ。3つ目は、部品メーカー各社が作成している「メーカー部品」。管理対象となるのがあくまで採用実績のある部品に限られてしまうのが難点だ。市場に無数の部品が出回る中で、そのほんの一部にしかアクセスできないのであれば、それはもはやデータベースとして価値を成していないのと同義だろう。

3種の部品をカバーできる。採用実績のない購入部品も管理の対象だ

いずれかの部品に「穴」があっては、全体の管理が水の泡となりかねない。そんなシビアな要求に対して、同システムは隙のない「面」での管理を提供しているという。国内ではCADENASのみが持つ、国内の主要70社以上、国外を含めると300社以上のメーカー部品データベースが、設計時の選択肢を大幅に広げてくれるわけだ。また、データベースが膨大になると、すぐに必要な部品にアクセスできるのかという点が気になるが、こちらは形状検索やスケッチ検索、トポロジ検索などCADENASが強みとするユニークな検索機能によって、素早く効率的な情報取得が可能になっている。こちらは是非、ブースのデモンストレーションで体感してみてもらいたい。

これ以外にも単純な検索エンジンとデータベースとしてだけではない価値も提供してくれる。モデリングした製作部品と似た形状のメーカー部品を探し出せる「Make or Buy機能」、設計に対して適切な素材を提示してくれる「素材検索」、複数のモデルから重複/類似した複数の部品を“多対多”で探しだす「重複検索」、“ドンピシャ”な部品ではなく少し違った形状から求める部品に近づいていく「インスピレーション検索」など、いずれもアプリケーションレベルで機能する便利なものばかりだ。

最後に高橋氏は、「部品情報管理の効率化には、設計段階でのコスト意識を持った取り組みが重要になります」と改めて部品管理のポイントを強調してくれた。これまで設計者のためのポータルサイト CADデータ無料ダウンロード「PARTcommunity」などを通じ、日本の3D CAD業界を盛り上げてきた同社に、今度は同システムによって、日本製造業界にさらなる発展を遂げてほしいという思いがあるようだ。

ブースにはさまざまな資料や導入事例があり、CADENASのスタッフも詳しく質問に答えてくれる。自社の部品管理を一歩先に進めたいという方は、ぜひCADENASのブースに立ち寄っていただきたい。