現在、アップルがワールドワイドで展開しているiPhone 6の広告キャンペーン"Shot on iPhone 6"。Webサイトでは、iPhone 6のカメラで撮影された写真を紹介する「ワールドギャラリー」が公開されている。作品、フォトグラファーとともに、使用したアプリやアクセサリ、撮り方のヒントが紹介されているが、このWebサイトとは別に、アップルは新聞広告や雑誌広告も打っており、こちらでもiPhone 6で撮られた作品が採用されている。マイナビニュースでは、その企画で紹介されたフォトグラファー・今泉純さん(instagramアカウント:@ima_juにお話を伺うことができた。

「ワールドギャラリー」で採用された今泉さんの作品。隅田川にかかる言問橋で撮影したとのことだ

ーーまずは、「ワールドギャラリー」で採用された作品についての背景を訊いてみた。どのような場所で撮影が行われたのだろう。

今泉 「ワールドギャラリー」で採用された橋に光が射し込んでいる写真は隅田川にかかる言問橋で撮影しました。大学でお世話になった先生が三カ月に一回くらいの頻度で東京再発見をテーマにしたゼミウォークを開いているのですが、この時は浜離宮からスタートし、ここから上船して浅草までの海上ツアーの後、徒歩で言問橋を渡ってスカイツリーへ向かうという企画でして、その道中のものです。当日、日中はどしゃ降りだったのですが、15時近くになって太陽が出はじめました。その日のNHK7時のニュースでも取り上げられたのですが、スカイツリーから初めて赤富士が見えた日でして、ちょうど見え始める1時間前ぐらいに言問橋を渡っていた時でした。渡りきったあたり、首都高速の向島線の真下だと思いますが、そこにあの矢のような光が射し込んできたんです。激しい雨の後のモヤモヤっとした外気が充満している風景の中、太陽光がめいいっぱい拡散・乱反射していたので、すぐさまシャッターを切った次第です。東京湾・隅田川を船で移動している間も霞がかったような状態で、(海上まで含めての)都市風景としてはそうそう出会えることもない幻想的な光景が広がっていたのを覚えています。まさに、あの日、あの時間、あの場所でしか撮れなかったでしょうね。ただ、私はこの日、スカイツリーの麓でゼミウォークを離脱したのですが、頂上展望台からの赤富士の幻想的な風景を撮り逃したことだけは、今でもずっと後悔しています(悲)。最近は、バタバタが続いていて、思考的にも、体力的にも、活動の軸がほぼInstagram(以下IG略)オンリーになってきていますが、これに限らず、昔から日常の視界・風景にはアンテナを張るよう心がけています(徐々に過去形になってきてますが……苦笑)。

フォトウォークの最中に撮ったと言う一枚は新聞広告に採用された。紅葉の季節、山梨県の昇仙峡での撮影

住んでいる集合住宅の屋上にある展望台のようなスペースで撮ったという一枚。モデルとなったのは愛娘だという。こちらの作品も新聞広告で採用された

ーー新聞広告で採用された作品についてはどうだろう。

今泉 ブロンド後姿の女性の写真は、紅葉のシーズン=昨年11月ぐらいに撮りました。IGを通じて知り合った知人たちと撮り歩き--「フォトウォーク」と言いますが--に出かけたときの写真です。去年は紅葉のピークのタイミングが掴みにくかったのですが、山梨県の昇仙峡まで行ったらドンピシャで、この紅葉シーンを撮ることができました。個人的には、写真文化はグローバルな分野であるので、余計に日本らしさ・日本美みたいなものが貴重に思え、中でも、四季折々といった日本特有の景色は、他の被写体が混じってでもその空気感を捉えたいと思っています。一方で、こういったIGの友人(以下IGers略)とコミュニケーションを図るというのも大事なことで、日本でのIG公式アカウントがローンチされて以降、コミュニティが活性化しているというのもありますが、フォトウォークだけでなく、アプリの活用方法、撮影設定やロケーションなどの情報交換でも盛り上がります。同じ意識を持った、あるいはトライ精神を持った友人と写真活動を共にする……という行為は、時に刺激になり、思考改変にもつながったりで、非常におススメだと思います。間違いなく自分の腕も上がります(笑)。もう一枚は、リフレクション効果を狙い、透明ガラスの前で娘に立ってもらった時の写真です。私が住む集合住宅の最上階に、パブリックな展望台スペースがあり、子供との遊びの流れの中で撮りました。月に何度かシャッターチャンスを伺いながらここに上がってるのですが、娘と一緒だったのが好運だったかもしれません。そもそも、IGを始めるきっかけも娘の写真を撮るようになってからだったので(娘の成長を天国にいる父に見せてあげる趣旨)、娘も私にとっては大事で不変的な被写体になっています。それが選ばれたことは、今までになく非常に嬉しい出来事でした。

ーーInstagramのアカウントを覗いてみると、撮り慣れているなという印象を受ける作品ばかりだ。写真歴も長いだろうと思われるのだが……。

今泉 カメラはハード=メカが好きですね。美しく、時間と時代を感じさせるプロダクトはほんと心から大好きです。スナップを撮るなどは中学生時代から徐々にで、一眼などで腰を据えた写真を撮り始めたのはデジタルカメラが普及するちょっと前で、だとすると、ギリギリ最後のフィルムカメラ世代かもしれません(笑)。その頃は大学生だったのですが、建築系だったので、課題の提出用に模型の写真を撮らなくてはならなくて。そこからですね。建築なのでパンフォーカス厳守、どれだけクリアに表現できるか……みたいな。フィルムで広角&パンフォーカスというのは、当時の私にとっては難題でして、撮り直しや焼き直しでどれだけお金が掛ったことやら……の時代でした。今でこそフィルム写真は懐かしく、独特な空気感もあってハマる方も多いと思うんですが、あれはやっぱり「紙焼き」があってなんぼですね。モニターやデジタル画面を通してみる事が当たり前の時代となりましたが、フィルムスキャンした時点でもうデジタル……。私の場合、そこでアナログ感が消失してしまう歳になってしまいました。なので自発的にフィルム云々へのトライ意識はもはや個人的にはないだろうなという想いです、悲しいですが。デジタルカメラに移行してからはなんとなく静物を撮っているという感じでしたが、子供ができてからはよく撮るようになっていきました。当時はSNSが普及してなかったので、ブログに写真を掲載してっていう感じでした。PC使ってAdobe Photoshopで加工して、文面添えてといった具合に。この一連の作業のスムーズさに感動したものでしたが……その後、iPhoneを手にし、IGが出てきたところで、流れが変わっていきました。

気の合うIGersとの飲み会の日、会場に向かう際に撮ったという一枚。背後は解体中の旧東急渋谷駅。「再開発がこれからピークを迎えつつあるであろう渋谷駅周辺の中、この高速3号線の特異なうねり姿はこの先ずっと不変であり、車のヘッドライトが絶え間なく往来する姿を含め、(不夜城もとい)不夜道であることを象徴させたいが故の、それを強く意識した一枚。そんな『想いの強い』背景の中に、IGersが出演してもらう点は、無意識的な作法として定着しました(今泉さん)」

ーーiPhoneは何時から使っているのだろうかと聞くと。

今泉 iPhone 4からです。3Gも凄く欲しかったのですが、当時は携帯電話を持たなかったんですね。電話を待つのがあまり好きではなかったんですよ(笑)。そもそもデジタル機器も、3世代目から安定してくるので、iPhoneもちょうど良い時期でした。

ーーiPhoneのカメラにはどんな印象を受けたのだろう?

今泉 ガラケーを使ってた頃はカメラを使うことはあまりなかったですね……画面も小さいですし。それで、友人のiPhone 3Gで撮った写真を見せてもらったことがあったのですが、画面の大きさもさることながら鮮明度に感銘を受けました。iPhone 4にしたのも撮られた写真にインパクトがあったからです。仲間内では「ネイティブカメラ」で撮ると呼ばれているのですが、iPhone本来に備わっている標準カメラ性能も洗練されてきて、iPhone 4、5、6ときて画質もかなり向上してると感じます。モバイルというカテゴリー範疇の中でではありますが、暗い場所で撮ってもノイズが少ないっていうのは進化の証拠です。シャッターチャンスを逃さない機動性も魅力です。操作のしやすさも含めて、自分のスタイルにマッチしてるから手放せないですね。撮る時は大量に撮りますし、だからといって下手にデータ容量が大きくなっても困るわけで、その辺の使い勝手と機能的側面での全体統合されたバランス感は、さすがアップルの製品と痛感しました。

前回登場頂いたフォトグラファー・宮瀬浩一さんがスーツ姿のモデルを務めている一枚。宮瀬さんは、古くからつきあいのあるIGersであるとのことだ。撮影は室生寺内五重の塔前で行った。「『大人の奈良』という仲間内でのテーマにより“黒"というドレスコード指令の中(写真家:故植田正治氏へのオマージュ)、奈良という場所性、日本・東洋の風景美を意識しながら撮った一枚。 スーツ姿により "大人"の印象が強く出た点に加え、偶然遭遇した霧の天候が、画角の雰囲気づくりに大きく貢献してくれました(今泉さん)」」

ーーInstagramが主軸ということだが、撮影や加工も「Instagram」アプリがメインなのだろうか?

今泉 2011年の4月にIGのアプリをダウンロードして使い始めたのですが、やはり始めた頃はIG上での加工が面白かったですね。そもそも当時は、そこまで写真加工アプリが多くなかったように記憶しています。iPhoneの「ネイティブカメラ」も今のようにフィルターや加工の機能はありませんでしたし。今は「ネイティブカメラ」の中で画角や露出の調整を行う機会も少なからず出てきました。そこで一旦保存して、別なアプリで細かく調整するといった按配ですね。「ネイティブカメラ」も機能が充実してきたので、いろいろと試していきたいとは思ってます(現時点、実はあまり使い切れておらず……苦笑)。

ーー使い分けているというアプリにはどんなものがあるのか訊いてみると……。

今泉 基本的には「Snapseed」「VSCOcam」「Adobe Photoshop Express」を使い分けてます。私の周りにはこの3つを使っている人が多いというイメージです。撮影は「ネイティブカメラ」。iPhoneのロック画面からすぐに起動できるじゃないですか……先ほども言いましたけど、シャッターチャンスを逃さないですよね。機動性・即興性を重視した場合、iPhoneはまさに群を抜いた存在だと思います。

ーーそのシャッターチャンスを逃さないよう、iPhoneの操作は片手で行うとのことだ。親指以外でiPhoneを逆さ向きにホールドし、親指でシャッターボタンを押す。iPhoneを逆さに持っても、画面上では上下が反転しないので、撮影の際には問題はない。実際に撮影に於ける一連の手順を見せてもらったのだが、さながら獲物を追うハンターのような動きが鮮烈であった。

今泉 タップしてフォーカスを合わせるのもあまりせず、ほぼカメラ任せですね。自動で素早くピントが合いますし。仰瞰で撮る場合は両手を添えて頑張らないと傾いてしまうことがあるのですが、そういう場合を除くと殆ど片手で操作します。一回のフォトウォークで200枚も300枚も撮ってると、自然とこのスタイルに落ち着きました。片手撮りはiPhone 5で本体が長くなってからのほうがしやすくなりましたね。今のiPhone 6には純正ケースを着けているのですが、肌触りもグリップ感も気に入っていて、片手撮りでも安心して使えています。

幾何学的な構図の奥に人物が佇む印象的な作品は、ある日に仲のよいIGersと気ままな撮影放浪をしていた際のショットだという。「iPhone 6では夜ショットに強くなったとはいえ少々の不安を抱える中、内部全体が非常に明るく、近未来的で奥行きあるチューブパースを作り出しているブリッジに惹かれ、夢中で撮った一枚。築年数があるだけに、恐らく照明改修も行われたであろうこの場所を訪れ、手の掛け具合によっては建物も存分に息を吹き返すものだと(なおかつ時代性に合った意匠性に再現されてみえる)改めて実感させられました。写真によっては本業に何かしらインパクトを与えてくれる事が重々に体感できた、印象深い一枚でもあります(今泉さん)」

ーー撮影に際して、ロケーションやアプリなど、情報収集はどのように行っているのだろうか?

今泉 IGでは、誰かに訊かなくても、フィードの中で情報が見えてくることがあります。どこで撮った、こんなアプリを使ったというような。他には、私達は「フィーチャーもの」と呼んでいるのですが、タグ付けされた素晴らしい写真がフィードで紹介されるという中で、アプリがテキストで添えられていたりするので、そこから情報を得るということもあります。あとはやっぱりリアルに「会う」ってことですね。これも先ほど言いましたけど、IG全体が、そしてIGの本質が、コミュニティ中心に活動しているところにあるので、フォトウォークやInstaMeet(通称ミート)での情報交換などが肝になるんですね。

ーー実際にInstaMeetを主催したことがあるのかどうか訊いてみると……

今泉 InstagramersJapan(IGersJP)企画によるInstaMeet(企画名称MeetMeJapan )は47都道府県で展開されたものですが、この中で神奈川県の担当として、江ノ島メインでオーガナイズしました。その時は累計で36人集まりました。ちゃんとオーガナイズできるのは、それくらいの人数が限界でしょうね(苦笑)。ちょうどこの一年前ぐらいに、WWIM 9 (World Wide InstaMeet 9 / IG本家主催による) のサポートもさせて頂いた事がありましたが、日本のIG公式アカウント発足直後のものだったので、東京の場合、累計参加者数も100人を超えるなど(機会を増すごとに参加者数は増加傾向)、様々な気配り面を考えると、これだけの大人数はなかなか難しいところがありました。そういった経験値があった上での今回のミートだっただけに、しっくりくる状態で終えることができましたが、参加者はどんな想いを持ってくれたか……は謎です(苦笑)。

2月の1カ月間いっぱいを、日本47都道府県、3人からなる小規模単位以上でのミート月間にしようという、IGersJP企画「MeetMeJapan」に参加した際に撮影された一枚。この企画では、実際に47都道府県でミート開催を達成したとのことだ。「2月28日のグランドフィナーレ日における山梨県(富士山)に『参加者』として合流。久しぶりにお会いできた仲間も多く、意気揚々とした爽快な空気感、富士山という日本の象徴風景(場所性のアピール)、フィナーレにふさわしい躍動感を強く意識した一枚。これぞミートという盛り上がりがありました(今泉さん)」

今泉さんがオーガナイズした「MeetMeJapan」で撮影したというショット。「午前は竹林で有名な鎌倉市報国寺、午後は江ノ島メインということで『江ノ鎌アラウンド』というミート名を発案。やはり愛嬌ある名称って大事かなと思ってますし、その方が参加者も理解が早いところありますしね。平日にも関わらず総勢36名からなるIGersに参加して頂き、非常に充実した時間を過ごせました。IG上では竹林のルックアップ写真も多い中、それらとは違ったうねり具合のある竹を見つけ出し、参加者を添えることでのスケール感の創出、特異な線形の姿を撮る事に注力した一枚です(今泉さん)」

ーー今泉さんのInstagramのアカウントを見てみると、スケール感のある風景の中に、人物がぽつんと立っているという作品群が特に目を惹く。こういった写真は狙って撮っているものなのだろうか?

今泉 IGの中でも、例えば、海外ではクリアで鮮明な「ネイチャーもの」や「モダン建築・都市風景もの」など、日本ではボケを効かしたフィルム系「ポートレート」が人気を博しています。これまた面白い風潮なんですが、海外ではモバイルメイン(一部で一眼レフ)などのデジタルデバイス系が主流である反面、日本では前記したようにフィルム系が多数混在してきており、日本独特・特有な写真文化をみることができます。中でも、クリアな背景を活かした画づくりの一環として、背後の壮大なランドスケープの中に人を巧みに配置することで実際何処かに行ったような感覚=その場所に実際参加している気持ちになれるような作品も大変メジャーになっています(前回登場されたフォトグラファー宮瀬さんのスタンス・試みがそうですし、私も非常に共感しています)。パンフォーカスでクリア……ついでに携帯性という点を加味すると、実は、こういった作品づくりはモバイルフォトグラフィーに非常に適した特性ではないかと思っています。一方、画角内の人物の存在については、建築をやっている際に嫌というほど意識させられた事でもあります。「空間」のスケール感は人がいないと成立しないので……。このような特性と潜在意識がうまくブレンドして自身に染み付いているだけだと思います。IGを始めた頃は、一旦は別次元の流行りに左右されはしましたが、最近は普通に、今のスタイルに戻ってきたと思います。とはいえ、人物が何らかの形で写っているものはフィードでも人気がありますし、やっぱりいいですよね。ただ、皆同じベクトルに向いている風潮も否めません。たまにはそこから少し離れて、人物を省いたり、意表を突く表現もしたりなど、あえて遊び心を交える器用さも必要ですよね。

ーーしかしながら、所謂「ウケ狙い」のような嫌らしさは全く感じられない。撮りたいものをただ撮っているという気持ちが伝わってくる。

今泉 誰もが数字を気にするっていうところはあると思うんですね。「いいね!」が幾つつく、フォロワーがどのくらいいるのか……とか。実は自分のIGアカウントも、ある時点からあまり伸びていません(悲)。でも、決してそこに左右されてはダメなんですよね……やはりその世界はその世界なだけですし。そこにはあまり流されずに自分の視点で撮り続けられることが一番重要なんだと思ってます。常に気持ちはフラットに、そして冷静・穏やかに。そんな私の写真が今回「ワールドギャラリー」のサイトと新聞広告で採用され、一番喜んでくれたのは家族でした。喜ぶ以上にビックリしてたようですけど(笑)。

朝霧高原で撮影したという作品。霧の中にぼんやりと仲間の姿が写る幻想的な仕上がりだ。「3月に富士五湖廻りをIGersと周遊した際、早朝濃霧のタイミングに遭遇でき、高揚しながら撮り始めた一枚。周囲の見通しがきかないため、興奮を抑えつつ、まずはたじろぎながら固まって行動している皆の姿(笑)。このショットは霧の美しい情景というよりは、偶然出くわした景色の中で、我を忘れて写真に没頭し始める「仲間」の姿を印象的に捉えることに注力し、私が尊敬する写真家:故植田正治氏へのオマージュ(=人の散在風景)を意識した一枚でもありました(今泉さん)」

ーー最後にこれから撮影で行ってみたいところ、やってみたいことを伺ってみた。

今泉 日本最北端が一番行ってみたいですが、ともあれ、秘境的なところに行ってみたいです。でも、そういう風な気持ちにさせるという点ではiPhoneとiPhoneで撮った写真ってやっぱり凄いですよね。もはや写真以上の世界感へと導いてくれます。自分はiPhoneで撮った写真は後に「現象」を引き起こしてくれるものと捉えていて、例えばIGでは一つの例として、ミートといったような、写真という枠から飛び出した現象を築いています。別の現象の例=私が最もやりたい究極なことがあるのですが、これは言わないようにしてます、パクられるので(笑)。概ね実現させずにフェードアウトしていくと思いますが……苦笑。ただ、iPhoneで写真を撮ることは続けていくと思います。だって写真って生活の一部でしょ? 最新テクノロジーに乗っかりつつ、それを上手く駆使しながら写真表現を楽しみたいですね。奇をてらったものを撮る・つくるという意味ではなく。使うものは「古」より「新」主義ではあるので、その流れの中で自分なりの写風(しゃふう)を打ち出せたらいいなと思ってます。

きらきらと輝く浜辺に立つ女性を捉えた一枚は冬晴れの日に撮影されたもの。普段は退廃の海や悲しさ・儚さを感じる冬の海を撮ることが多いとのことだが、心地良い何かを感じたのだろう。「冬晴れの海を背景に、冷たい水と風に戯れる女性の自然な姿。オフシーズン……とりわけ冬の海は荒れ気味でクール……そして人気が少ないことで黄昏と哀愁を存分に感じることのできる切ない場所。むしろ曇天の方が好みである中、ヒカリの強さと浜砂の陰影に惹かれ、迷わず『明るい冬の海』をシャッターに収めた一枚。今更ながら冬晴れっていいなぁと感じたショットでした(今泉さん)」