Firefox OS搭載組み込みボード「MozOpenHard」

2つめのセッションは、KDDI研究所の関口直紀氏がFirefox OS搭載組み込みボードの「MozOpenHard」について紹介した。

図6 関口直紀氏

まず、現状のWoTについて、PCやスマホには標準化されたブラウザが搭載されるようになってきた。一方、モノの側では特定のOSが搭載されていて、インターフェイスもバラバラな状況である。そこにWebのインターフェイスを搭載していくのが、WoTの姿と語る。

図7 MozOpenHardが目指すWoTの姿

モノの操作をすべて、JavaScriptやHTML5で行う。そのためには、モノにもブラウザが搭載されることになるだろう。このようになれば、インターフェイスやプログラムも共通化され、よりうれしい世界になるのではないかと期待しているとのことである。現在でも、さまざまなモノにディスプレイが搭載されている。そこにブラウザが搭載されるのも、それほど外れてはいないだろうとも語っていた。まずは、MWC 2015で、Firefox OS組み込みボードを使ったデモが紹介された。

図8 NWC 2015でのデモ

回り灯篭とにょろにょろ動く灯篭の2つである。前者は、360度全方向にWebコンテンツを投影する。後者は、ブラウザからのコンテンツによって変形する。実際にこれらのデモで使われたボードはCHIRIMENである。そのスペックは、以下の通りである。

・Firefox 2.0搭載
・Rockchip RK3066 (1.6Ghz)
・1GB DDR3 DRAM
・1GB Nand Flash

大きさは、図9を見ていただきたい。

図9 CHIRIMENのサイズ

左上の写真は、Raspberry Piとの比較である。1回り小さいといったところだ。インターフェイスは、図10になる。

図10 インターフェイス

I/Oには28pinも用意されており、I2CやGPIOなどのローレベルなインターフェイスも用意されている。CHIRIMEN(縮緬)の名前の由来であるが、Webとハードの異なる世界を織り込み、新しいモノを作っていくというイメージを込めたとのことだ。

その後、Firefox OSのインストール手順などが紹介された。しかし、ここで1つ問題がある。CHIRIMENは、2015年3月現在、5枚しか存在しないのである。関口氏によれば、Marsboard RK3066を使えば可能とのことだ。少し込み入った手順となる。以下のサイトを参考にしてほしい。

・MozOpenHard(main page)
http://mozopenhard.mozillafactory.org/
・Facebookコミュニティ
https://www.facebook.com/groups/305208196333685/?pnref=lhc
・CHIRIMEN Technical Information
https://github.com/MozOpenHard/CHIRIMEN
・CHIRIMEN Mailing List(Announce only)
https://groups.google.com/forum/?hl=ja#!forum/chirimen

特に、Githubのツールやドキュメントが参考になるだろう。WebアプリからのGPIO制御であるが、最初のセッションのWeb APIを使う方法もあるが、現時点では標準化されていない。そこで、関口氏はnode.jsをインストールし、そこを経由して制御を行った。

図11 WebアプリからGPIO制御

node.jsは、コミュニティにバイナリがアップされている。実際に灯篭デモの構成は、図12のようになる。

図12 灯篭デモの構成

gaia、gecko、gongは、Firefox OSの主な層であり、本来はgeckoから制御を行うことが望ましい。今回は、nodeからArduinoへシリアル通信を行い、そこからGPIOを制御している。別の端末からnodeにアクセスし、Web経由で制御可能になる。このあたりもWoTの柔軟な点だろうと指摘する。最後にNWC 2015での、デモなどの紹介が行われた。

そして、量産化に向けてであるが、Kickstarterに出品する予定とのことである。さらに、CHIRIMENおさわりイベントなども計画中とのことである。これらはFacebookコミュニティでアナウンスされるとのことだ。