以前のレポート記事でも報告したように、ジャストシステムのワープロソフト「一太郎」は今年2015年で30周年を迎えた。長い月日を振り返ると、MS-DOS時代の圧倒的シェアや、独自のウィンドウシステム「ジャストウィンドウ」が脳裏に浮かぶ。

2015年2月6日にリリースした最新版は、「一太郎2015」「一太郎2015プレミアム」「一太郎2015スーパープレミアム30周年記念パック」と3つのエディションを用意した。最初の無印版は30周年記念ソフトとして、「はかどる!数式メーカー」や「らくらく!画面カッター」を付属。

次の「一太郎2015プレミアム」は、さらに30周年記念フォントパックや「詠太5」、「花子2015」などをセットにしている。そして「~スーパープレミアム30周年記念パック」は、後述する「一太郎dash 30th」や、ワコム製ペンタブレットの一太郎モデル「Intuos pen & touch」が付属するといった構成だ。それでは、ジャストシステムが各所に施した新機能や改善点を中心に、一太郎2015の特徴を評価する。

左から「一太郎2015」「一太郎2015プレミアム」「一太郎2015スーパープレミアム30周年記念パック」

快適操作と原点回帰を目指した「一太郎2015」

誤解を恐れずに述べると、一太郎2015に大幅な変更は加わっていない。一般的なアプリケーションのバージョンアップは、目玉となる新機能をアピールポイントとして搭載するのが通例である。だが、一太郎2015はあえて新機能と呼べるものを身に付けず、ユーザーが一太郎を使う上で便利と感じるような改良を各所に施した。それが「30項目の快適化」だ。ジャストシステムはこの開発経緯として「初期の一太郎を手がけた開発者の思い」を探るところから始め、快適さの追求という"原点回帰"に至ったと説明している。

30項目について興味があれば、ジャストシステム(一太郎)のWebサイトで確認してみて欲しい。ここでは、30項目の中から筆者が独断で選んだ改善ポイントを連ねていこう。

まずは検索系の機能として、ジャンプパレットに「検索」が加わった。テキストボックスにキーワードを入力して検索するとジャンプパレットに検索結果一覧が並び、マッチ部分がハイライト表示に切り替わる。この検索機能はシート単体に対して有効だが、複数シートで文書作成中であれば、すべてのシートを検索対象にすることも可能だ。

新たに加わったジャンプパレットの「検索」。検索結果をクリックするとマッチ部分にカーソルが移動する

こちらは検索対象を「すべてのシートを検索」に変更した状態。検索結果にシート名が示される

この他にも既存の検索機能を拡充している。従来は脚注エリアを選択して検索する必要があったが、本バージョンからは本文と同じレベルで検索がヒットするため、脚注部分だけ置換に失敗するようなことはない。