「知財ブラック企業は通報だ!」の報奨金は最大300万円
最後に石原氏は、組織内不正コピーの有力情報提供者に対するプログラムを、今年も実施することを発表した。第3者の知財を侵害する企業を、昨今のブラック企業問題に当てはめ、「知財ブラック企業は通報だ!」プログラムを実施する(2015年2月16日から同年3月15日まで)。
今回のプログラムでは、和解に至る対象組織から支払われた金額に応じて、情報提供者に支払う報奨金を最大300万円まで引き上げた。過去2回は最大100万円だったことを踏まえると、増加傾向にある不正コピー問題の撲滅をさらに推し進める意志を強めたように受け取れる。
ただし、報奨金の適用条件は細かく定めており、すべての不正コピーが対象になる訳ではない。BSA加盟企業は2015年2月12日時点で31社だが、対象となるのは上図に並ぶMicrosoftなど16社。さらにハードルを下げることで多くの情報が集まるのでは、という質問に対して石原氏は「簡単なメールだけ受け取っても、BSAが動けないケースがある。それでは『通報したのに動かない』と、情報提供者の気持ちを台無しにしてしまう。不正コピーの数ではなく、高い信憑性につながる情報を集めなければならない。さらに情報提供者に対するヒアリングが可能であれば、情報精度も高まる」と説明した。
同種のプログラムは今回で3回目。2013年は282件、2014年は166件の情報が寄せられ、前者は5名、後者は1名にプログラム最高額の報奨金が支払われた。2014年の報奨金取得者数が少ない理由として石原氏は「現時点で和解に至っていないケースもあり、今後増えると思う」と語った。
不正コピーは決して許されるものではない。それでも摘発者は減らず、表面化しない企業の不正コピー使用例は筆者の耳にも聞こえてくる。不正コピーは犯罪であり、被害額は間接的にアプリケーションの購入金額に跳ね返る。不正コピーがまん延する現状の是正と、心当たりのある一部企業の意識改革を願うばかりだ。
阿久津良和(Cactus)