BtoBtoBの比重を拡大、とくに車載市場に注力する

また、2017年度以降の中期の液晶事業の基本戦略として、車載、IA、POS端末、医療分野や公共施設、教育施設、商業施設などの社会インフラを中心とした、BtoBtoBの比重拡大を図る姿勢を明らかにした。

シャープのビジネスは、スマートフォン向けやタブレット、ノートPC、テレビ向けのBtoBtoCビジネスが85%を占め、車載用、IA(インダストリアル・アプライアンス)、社会インフラなどのBtoBtoB向けは15%に留まる。これを2021年度には約40%にまで高めていく計画を示した。

BtoBtoB向けの比率を高めていく

「BtoBtoCはボラテリティリスクが高いのに対して、BtoBtoBはカスタム性が強く、品質力、技術力、サポート力、提案力が必要となり、参入障壁が高い。BtoBtoCへの依存度を軽減し、BtoBtoB領域ではディスプレイのUI革新により、既存システムの進化を提案する」という。

同社では、車載市場は2018年には、2014年比で1.3倍、IA・医療市場は1.1倍、サイネージ市場は2.1倍になると想定。これにより、BtoBtoB事業の拡大を目指すという。とくに車載事業は今後の重要な柱になるようで、実際、「BtoBtoB事業の核として車載事業を拡大する」と宣言した。車載ディスプレイ市場は、2018年には、2014年比で、金額ベースでは130%となる5805億円、台数ベースでは140%の1億2500万台への伸長が見込まれている。

具体的には、バックモニターミラーディプレイ、インパネディスプレイ、センターインフォメーションディスプレイ、ディスプレイオーディオ、ヘッドアップディスプレイ、リアシートモニターといった製品群によって、シャープの強みを発揮していく。

フリーフォームディスプレイやミラーディスプレイなど、車載用の製品群が公開された

シャープ ディスプレイデバイス第一事業本部第四事業部長の森正治氏

シャープ ディスプレイデバイス第一事業本部第四事業部長の森正治氏は、「今後は、自動車のなかに多くのディスプレイが入って行くことになる。車載用ディスプレイは、インパネディスプレイ、センターインフォメーションディスプレイ(CID)といった様々な用途が考えられる」とする。

安全運転の支援ではミラーディスプレイのほか、超低反射液晶、低温超高速応答といった技術を生かす一方、スタイリッシュなデザインの実現では、フリーフォームディスプレイや曲面ディスプレイの採用、ストレスない操作の実現ではフリー・ドローイング技術による高感度タッチパネル、ジェスチャーセンサーなどの技術で差別化できるとする。

「シャープは、1990年に車載用4型TFT液晶ディスプレイの量産を行って以来、車載用ディスプレイ市場において25年の実績を持つ。新しい市場ニーズの発生に伴い、安全(視認性向上)、快適(異型・狭額縁・曲面)、使いやすさ(センサー機能統合)などの価値が求められるようになっている。40年以上にわたる液晶ディスプレイ開発実績と、25年にわたる車載納入実績に加えて、センシングデバイスとの融合を図ることで、人にやさしい安全、快適、使いやすい車の実現に貢献していきたい」と述べた。

車載ディスプレイに関する説明