コストと運用管理の効率化にコミットする「Cloud Ready Blocks」

「Cloud Ready Blocks」は、仮想・クラウド環境に必要なハードウェアとソフトウェアを、1つのシステムとして構築し、基本設計・構築・設定までを済ませた状態で納入される、垂直統合型 仮想化・クラウド基盤である。ユーザー企業は検証済みのシステムバリエーションの中から、自社の環境に最適なモデルや構成を選択するだけでよい。これにより企業は、設計や動作検証、運用マニュアルの作成などの作業に要する時間を大幅に短縮できる。また、富士通が長年培ってきたクラウド運用のノウハウを、ベストプラクティスとして提供される点も特筆すべきポイントの1つだろう。

「Cloud Ready Blocks」は富士通のベストプラクティスを凝縮した、仮想化・プライベート環境に最適なIaaS基盤だ

葛西氏によると、従来の構築手法と比較し、初期導入コストを約40%削減した事例もあるとするほか、Cloud Ready Blocksを導入することで、80台のサーバを25台に集約し、わずか5カ月で基幹システムの構築を完了させた例もあるという。この場合、従来であれば、調達も含めれば数カ月かかっていたサーバ構築を、たった2日間に圧縮できたとのことだ。

Cloud Ready Blocksは仮想サーバの申請・自動配備に必要な運用プロセスを搭載しており、すぐにプライベートクラウドを運用できるようになっている。葛西氏は、「手作業で仮想マシン作成するには、各部門からのリクエストを受け付けてから要件確認し、リソースの空き状況などを確認したうえで仮想マシンの作成/確認し、返答していた。しかし、Cloud Ready Blocksにはセルフサービスポータルで利用申請する機能が備わっている。状来であれば48時間を要していた仮想マシン配備が、わずか30分で完了したという事例もある」と強調する。

Cloud Ready Blocksは、小規模な仮想化集約から大規模なプライベートクラウド構築までを網羅した、4モデルがリリースされている。Enterpriseモデルには、NetAppのOEM製品として提供しているネットワークディスクアレイ「ETERNUS NR1000F」を適用することも可能だ。なお、展示会場ではETERNUS NR1000Fを搭載したCloud Ready Blocksも披露された。その詳細については、後日改めてレポートしよう。

また、富士通では、仮想化導入を支援するサービスとして「仮想化アセスメントサービス」と「ストレージアセスメントサービス」を提供している。前者は顧客の稼働情報を調査して状況を把握し、情報を分析したうえで、効率的な仮想化統合に向けたプランの作成を支援するものだ。報告書では、調査、分析結果に加え、仮想化統合モデルや具体的な機器構成例や、費用も含む統合効果なども提示される。後者は、顧客のインフラ環境の構成情報と性能情報を、「問診表」や「専用ツール」で収集し、診断/分析するサービスである。

葛西氏は、「システムが複雑化すると、ストレージに起因する問題の把握は困難になります。ストレージアセスメントサービスは、ストレージに関する課題を可視化して棚卸しし、改善策を提案するものです。実際、お客様が気づかないところで、管理ミドルウェア用のディスクで負荷が集中し、パフォーマンスが低下していた例もありました。そうした際には、余裕のあるリソースを活用し、管理ミドルウェア用のディスクの負荷分散を提案しています」と説明する。

最後に葛西氏は、「富士通はクラウドの効果を最大化するため、システム構築からアセスメントまで、多角的に支援しています。これからクラウド環境への移行を考えている企業はもちろん、現在のクラウド運用に課題を抱えている企業も、ぜひお問い合わせいただきたい」と語り、セッションを締めくくった。